昨年11/27のブログ「コロナと損保決算」で台湾損保の話にも触れましたが、ネットで調べてみたところ、コロナ保険のリスクマネジメント失敗によって、日本の入院給付金の急増よりもはるかに深刻な事態に陥ったことがわかりました。
主な経緯は次の通りです。
・2020年12月:台湾産物保険が発売した「コロナ保険」が大人気となり、他社も相次いで販売
・2022年4月:台湾政府がゼロコロナ政策から転換し、感染者数が急増。各社の保険金支払いも急増
・6月:コロナ保険の販売を全面停止(販売停止の動きは4月から)。各社が増資を発表
・8月:東京海上グループが新安東京海上産物保険に追加出資し、子会社化
・12月:コロナ保険の年間支払いが約9000億円に(保険料収入は250億円程度)
台湾損保のコロナ保険は主に「防疫保険」と「ワクチン保険」です。防疫保険ではコロナ感染で治療を受けた場合の補償のほか、隔離対象(濃厚接触者を含む)となった場合にも補償があります。ワクチン保険はワクチン接種による副反応の治療費を補償します。
大人気となった台湾産物保険の商品は、約2000円の保険料(年間)を支払うと、隔離対象となったら約20~40万円の給付金を受け取れるというものでした。台湾の人口は約2300万人なので、業界全体で数百万件(1千万件という報道も!)も売れたコロナ保険の人気は相当のものだったようです。
日本のコロナ保険や医療保険では、みなし入院でも入院給付金を支払うとした「判断」が裏目に出ました。これに対し、台湾損保のコロナ保険では、隔離に対する保険金の支払いが大きかったのではないかと思います。そもそも、コロナ政策の優等生と言われた台湾政府が2022年4月に突然ウィズコロナ政策に転じるとは、現地の保険会社でも予想できなかったのでしょう。
ただ、未知の感染症に対する多額の補償を短期間で急速に積み上げてしまった点をはじめ、保険会社や政府の対応としてよくわからないところがありますね。
※つばめグリルではありません。東洋亭です。