健全性規制の背景と方向性

最近、日本における保険会社の健全性規制を振り返る機会がありました。

保険会社に対する規制というと、1995年の保険業法改正の前後で対比されることが多いように思います。確かにそれ以前のいわゆる「護送船団」行政に比べると、業法改正後は規制緩和が段階的に進み、保険商品や料率、販売チャネル、さらには保険会社のビジネスモデルも多様になりました。
しかし、健全性規制に注目すると、業法改正で整備が進んだというよりは、護送船団時代の不備が明らかになるなかで、リスクベースの新たな規制を導入しても十分機能せず、自己規律の活用という新たな取り組みも含め、今でも試行錯誤が続いているということなのでしょう。さらに、銀行規制や国際的な保険規制の影響も受けていますので、銀行の健全性規制に比べると、はるかに理解が難しいのではないかと思います。

ですから、過去の経緯や当時の背景を知らないと、「どうしてフィールドテストが続くのか」「ウチの会社のERMに当局がいろいろコメントしてくるのはなぜか」といった疑問を感じつつも、ルーティンワークとなった(あるいは、なりつつある)業務をこなすだけになってしまい、しんどいのではないでしょうか。

そのようなことを考えつつ、損保総研の講演をお受けしました。9月3日(月)の夕方に、「知っておきたい保険関連の健全性規制の背景と方向性」というテーマでスピーチを行います。
損保総研は以前からオープンな姿勢をとっていて、私のような業界の外の人間にもありがたい存在です。損保総研の図書館は誰でも使えますし、この講演も損保業界限定ではなく、どなたでもエントリーできますので、ぜひご参加ください。

それにしても、リーマンショックから10年、日本の生保危機からだと約20年です。早いですね。

※海外の写真みたいですが、実は東京・代々木上原にある建物です。

※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

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