生保の第1四半期報告より

今週のInswatch Vol.1050(2020.09.14)に寄稿したものです。
一時的な緊急事態から新たな生活様式にシフトするなかで、各社の新契約獲得力はどうなっていくのでしょうか。
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対面チャネルは総じて厳しい結果に

既報のとおり、新型コロナ感染症による営業自粛で、第一四半期(4-6月期)の生保各社の業績は著しく落ち込みました。

営業職員を主力チャネルとする大手生保では、個人保険の新契約件数、新契約年換算保険料ともに前年同期に比べて5~7割減少しています(明治安田生命は約4割減)。
代理店による生損保クロスセルを主力とする損保系生保では、新契約が前年同期に比べて2、3割の減少にとどまっています。ただし、これは損保代理店がコロナ禍のなかで生保営業に邁進したというのではなく、経営者保険の税制見直しにより前年同期の数字が落ち込んでいたためとみられます。中小企業を顧客基盤とする大同生命の新契約年換算保険料が前年よりプラスとなったのも、おそらく同じ理由です。こうした特殊要因のない2018年と比べると、いずれの会社も落ち込みが大きくなっています。
銀行窓販が主体の会社(第一フロンティア生命、三井住友海上プライマリー生命)でも新契約は大きく落ち込みました、こうしてみると、4-6月期は営業職員、代理店、銀行と、どのチャネルでも対面販売はコロナ禍の影響を強く受けたことが確認できました。

他方で、ダイレクトチャネルを主力とする会社は新契約を伸ばしました。ライフネット生命、アクサダイレクト生命、SBI生命などで、「ステイホーム」が追い風となりました。
オリックス生命、はなさく生命、メディケア生命なども健闘しています。オリックス生命は新契約件数も新契約年換算保険料も前年同期比1、2割しか減っていませんし、経営者保険による影響もほとんどありません(ダイレクトチャネルが貢献した可能性はあります)。ちなみに、はなさく生命は日本生命グループ、メディケア生命は住友生命グループの会社です。

個人は解約に動かず

解約が増えているという報道もありましたが、4-6月期の数字を見るかぎり、全体としては、解約はむしろ落ち着いていました。銀行窓販が主体の2社では1-3月期に続き、解約返戻金が高水準となりましたが、あとはエヌエヌ生命とマニュライフ生命の解約がやや目立つ程度です。
銀行窓販で解約が多いのはやや気になります。すでに解約控除期間が終わっている契約であればいいのですが、銀行の勧めにしたがい預金から貯蓄性保険にしてしまい、いざ手元に資金が必要となってはじめて顧客が解約控除の存在を知った、などということはなかったでしょうか。

手元資金に関連して、各社の契約者貸付の残高も調べてみました。6月末の残高が3月末に比べて100憶円単位で増えたのは、日本生命、かんぽ生命、大同生命、ソニー生命、プルデンシャル生命、エヌエヌ生命、あんしん生命でした。経営者保険に注力してきた会社で増加が目立ちますが、契約者貸付に対する取り組み方針による違いもありそうです。

4-6月期は緊急事態宣言が出されるなかでの営業活動でしたが、新たな生活様式が定着してきた7-9月期(とはいえ第2波の影響もありそうですが)の契約動向に注目したいと思います。
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※福岡大学では後期の授業が始まり、着任して初めて対面授業を行いました。

※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

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