銀行規制の話ですが、新年早々に発表があり、
関係者の皆さんを驚かせました。
金融庁のサイトへ
金融危機後にバーゼル銀行監督委員会が
進めてきた規制改革(バーゼルIII)の最終化が
年内に間に合わず、1月上旬に予定されていた
中央銀行総裁・銀行監督当局長官グループ
(=ここで規制案を承認)の開催が延期されました。
報道によると、意見調整がまとまらなかったのは、
自己資本比率の計測に内部モデル手法を採用する
銀行に対し、最低限保有すべき自己資本の水準を
どう設定するか(=資本フロア)という話のようです。
現行のバーゼルIIでも資本フロアは存在しますが、
バーゼル委員会は、内部モデルによるリスク計測は
銀行間でバラつきが大きすぎると考えているため、
資本フロアの見直しを検討してきました
(例えば、内部モデルを使わない「標準的手法」で
計測したリスクの90%を最低基準とする案など)。
これも報道ベースですが、調整がまとまらないのは、
「内部モデルなんかとんでもない」とする米国当局
(=米国の規制と平仄を合わせようということ?)と、
これまで規制における内部モデルの活用を進め、
かつ、経営内容が必ずしも良好ではない大手銀行を
抱える欧州当局が対立しているためのようです。
確かにモデルはあくまでモデルなので、常に改良が
不可欠となります。これを規制として活用するには、
当局による承認というプロセスが必要ですし、
金融機関どうしの比較も難しくなります。
ただ、バーゼルIIやEUソルベンシーIIで内部モデルを
積極的に採用してきたのは、内部モデルのほうが
その金融機関の抱えるリスクを適切に反映するうえ、
金融機関自身による経営管理手法とも合致する、
あるいは、高度化を促す効果があるからです。
また、実質的に標準的手法だけになってしまうと、
「規制で求められる水準さえ確保すればいい」
という経営マインドになりかねません。
いまさらこのような話をしても仕方がないのですが、
保険の国際規制に関わってくる話でもありますし、
今後の動向に注目しましょう。
※今年も香川の雑煮を食べることができました。
白味噌にあん入り餅です!