先週、日本内部監査協会のCIAフォーラム研究会で
「保険行政と内部監査--リスク管理面を中心に」
というテーマでスピーチする機会がありました(2/27)。
↓こちらのサイトの下のほうに載っています
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講演では、保険市場や保険行政の変化に触れたうえで、
保険会社や行政がERMを重視していることとその背景、
内部監査部門に求められる役割などについて話しました。
ところで、昨年12/15のブログで取り上げた監督指針等の改正案
に対するパブリックコメントとその回答を金融庁が公表しました。
パブリックコメントの結果等について(金融庁HP)
「80の個人及び団体から延べ156件のコメント」とのことで、
全61ページの大半が統合的リスク管理態勢に関するものでした。
2011年の保険検査マニュアル見直しの時よりもずっと多いです。
詳しくはご覧いただければと思いますが、明らかになった点も。
まず、「統合リスク管理」と「統合的リスク管理」を使い分けていること。
「統合リスク管理とは、統合的リスク管理手法のうち各種リスクを
VaR等の統一的な尺度で計り、各種リスクを統合(合算)して、
保険会社の自己資本等と対比することによって管理するもの」
なのだそうです。
ERM ≒ 統合的リスク管理 > 統合リスク管理
という式になるのだと思います。
監督当局へのORSA 報告の義務化は、「検討中」ということも
確認されました。
今回のテーマである内部監査部門に関しても、
興味深い回答がいくつかありました。
「リスクとソルベンシーの自己評価をリスク管理部門中心に実施している
場合でも、有効性の全般的な評価をリスク管理担当役員が行うという
ことでよろしいのでしょうか」(Ⅱ-3-5-2)
という質問に対し、
「例えば、リスク管理担当役員が全般的な評価や確認を行い、
内部監査部門が独立した立場から評価結果を検証すること等が
考えられます」
との回答が。他にも、
「『リスクとソルベンシーの自己評価』は、『統合的リスク管理』に包含
されますが、監督指針『Ⅱ-3-5-2(5)』では、『統合的リスク管理』が
内部監査の対象外といった誤解を回避するため、『統合的リスク管理
及びリスクとソルベンシーの自己評価』と記載しております」
(Ⅱ-3-5-2等)
という回答があり、保険行政(金融庁)は内部監査部門に対し、
統合的リスク管理の有効性検証や、経営陣への提言(必要に応じ)を
求めていることが明らかになりました。
なお、改正された監督指針案等は「本日(=2/28)より適用を開始」
だそうです。つまり、もう適用されているということですね。
※写真は「かいぼり(=日干し)」中の井の頭公園です。
約30年ぶりとのことで、そろそろ再び水が入るのではないでしょうか。