老舗喫茶店

イノダコーヒ本店

2022年10月13日訪問。イノダコーヒは京都を代表するコーヒーチェーンの1つで、本店はいかにも老舗といった雰囲気です。私は本館でナポリタンと栗のケーキをいただきました(もちろんコーヒーも)。次回は旧館にも行ってみたいです。
地下鉄烏丸御池駅から徒歩5、6分のところにあります。

喫茶チロル

2022年10月20日訪問。二条城の近くにある老舗の喫茶店で、町の中心からやや外れているためか、敷居の低さがいい感じでした。私は目玉焼きを乗せたカレーをいただきましたが、カツカレーが有名なようですね。
地下鉄東西線・二条城前駅から徒歩5分くらいです。

前田珈琲室町本店

2022年11月10日訪問。京都ではお馴染みの前田珈琲。本店の建物はもともと呉服屋さんのものだったそうです。私は「ハーフふわふわタマゴサンド」とコーヒーのセットをいただきました。地下鉄烏丸線・四条駅のすぐ近くで、地元のかたが多かったような印象です。
ちなみに京都のたまごサンドは卵焼きが定番なのですね。

スマート珈琲店

2022年11月11日訪問。寺町通り(アーケード街)の三条寄りにある老舗喫茶店で、1階が喫茶、2階が洋食ランチに分かれています。私たち(この日は奥さんと一緒でした)は1階でコーヒーとタマゴサンドウィッチ、パンケーキをいただきました。タマゴサンドはやはり卵焼きのサンドです。妻いわく「懐かしい感じがする」とのことでした。
地下鉄東西線・京都市役所駅から数分です。

フランソワ喫茶室

2022年11月17日訪問。1934年創業の喫茶店で、店の建物は国の登録有形文化財に指定されています。店内にはクラシック音楽が流れ、落ち着いたひと時を過ごすことができました。こちらではピザトーストとチーズケーキをいただきました。
場所は四条河原町交差点の近くです。

虎屋菓寮

2023年1月6日訪問。京都のお雑煮が食べたくてホテルで聞いたら、こちらを紹介されました。
とらやは東京の和菓子屋さんだと思っていましたが、京都が発祥で、1869年の東京遷都に伴って東京に進出したのだそうです。
白味噌のお雑煮を満喫しました。

二軒茶屋

2023年1月12日訪問。「老舗喫茶店」のイメージからだいぶ外れてしまいますが、八坂神社の門前にある、室町時代創業の老舗茶屋です。外見とは違い、内部は新しい感じでした。
こちらでは名物の田楽豆腐と、またまた白味噌のお雑煮をいただきました。

喫茶マドラグ

閉店した老舗喫茶店「喫茶セブン」を受け継いだお店で、やはり閉店した洋食店の名物だった「玉子サンド」を提供しています。人気店なので11:30から1時間交代制となっていて、なかなか足を運ぶことができなかったのですが、ようやく訪問できました。
こちらの玉子サンドも焼いたタマゴです。京都では、ゆで卵のマヨネーズ和えのサンドは「コンビニの玉子サンド」と言われているとか。それにしても大きな玉子サンドでした。1人では食べきれなかったので、持ち帰らせていただきました。

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生保のヘッジ外債投資

少し前ですが、財務省が12月8日に公表した「対外及び対内証券売買契約等の状況」によると、7-9月に続き、10月以降も生命保険会社による外国証券の売り越しが続いているようです。上半期決算データや下半期の運用計画報道を踏まえると、ヘッジコストが高水準となっているなかで、主に為替ヘッジ付き外債(ヘッジ外債)の売却が続いているのではないでしょうか。

そもそも各社がヘッジ外債をどう位置付け、4-9月期にどう動いたのか、公表資料から探ってみましょう。

【日本生命】
・かねてから一般勘定資産の約7割を円金利資産に投資する方針を打ち出していて、IR資料によると、ヘッジ外債はリスク性資産ではなく円金利資産という位置付け。
・4-9月期はヘッジ外債よりもオープン外債を大きく減らしたように見える。

【第一生命】
・IR資料には「ヘッジ外債は円金利資産の代替として投資を行ってきた」とある。
・4-9月期には「リスク・リターンの観点からヘッジ外債の大幅な削減を実施(IR資料)」。決算データからも確認できる。

【住友生命】
・IR資料によると、一般勘定は運用目的に応じてALM運用、バランス運用の2つに区分して運営しており、ヘッジ外債は両方に組み入れ(円金利資産とは扱っていない模様)。
・7-9月期に外国公社債が減っているが、ヘッジ外債ではなさそう。報道によると下半期はヘッジ外債を減らす方針とのこと。

【明治安田生命】
・決算説明資料には資産構成やALMに関する説明がない。
・4-9月期にはヘッジ外債を大幅に減らし、オープン外債を増やしたように見える。

【富国生命】
・決算説明資料には「収益性が低下したヘッジ付外債の売却およびオープン外債化を進めた」、運用計画報道でも「ヘッジ外債のオープン化」という記述があった。決算データからもヘッジ外債の大幅な削減が確認できる。

富国生命のように、リスクテイクを行う中期方針のなかで外債投資を行い、為替ヘッジを機動的に行うなかでヘッジ外債を保有するといった会社は例外で、多くは円金利資産、あるいは円金利資産の代替としてヘッジ外債を保有しているようです。
しかし、超長期の円金利負債を抱える生命保険会社にとって、ヘッジ外債が円金利資産の代替になるというのは無理があるように思います。一時的には負債の金利リスクのヘッジ効果があるとしても、今回のようにヘッジコストの上昇で売却を迫られるようなこともあるので、追加的なリターンを狙う独立したカテゴリーとして取り扱うべきではないでしょうか。

※主役交代の準備が進んでいました。下鴨神社にて。

 

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実質資産負債差額の弊害

以前のブログで、2016年3月期決算において実質資産負債差額(実質純資産額)が1年前より増えているのは生保の経営実態を反映しておらず、金利水準の低下によって健全性はむしろ悪化していると書きました。2022年9月期決算ではそれとは反対のことが生じました。

実質資産負債差額を公表していない会社も多いので、ソルベンシーマージン総額に有価証券含み損益をすべて反映させ、かつ、負債性資本調達手段等(劣後債務など)を控除した数字を見てみました。すると、実質的な健全性に大きな変化がないか、改善したにもかかわらず、この半年間で数値が大きく減った会社が目立ちました。しかも、いくつかの会社ではおそらく実質資産負債差額がほぼなくなったこともうかがえました。
現行のソルベンシー規制において、実質資産負債差額はソルベンシーマージン比率(SMR)とともに早期是正措置の発動基準となっています。金融庁はSMRが0%を上回っていても、実質資産負債差額が負の値となる場合には、業務停止命令を出すことができます。
ただし、実質資産負債差額から、満期保有目的債券および責任準備金対応債券の時価評価額と帳簿価額の差額を除いた額が正の値となり、かつ、流動性資産が確保されている場合には、原則としてこの区分の措置はとられないこととなっています。
詳しくはこちらをご参照ください。

12月16日に金融庁が公表した「業界団体との意見交換会において金融庁が提起した主な論点」によると、金融庁は生命保険協会に対し、次のような話をしたようです(11月18日に開催)。

「特に、海外金利上昇に加え、国内の超長期債金利も上昇傾向にあり、各生命保険会社が保有する債券の評価損が拡大している。こうした中、生命保険会社の財務の健全性に直ちに問題が生じるとは考えていないが、一部の保険会社において、実質資産負債差額が減少するなどの影響が生じていると認識している」

「こうした市場環境を踏まえ、各生命保険会社においては、適切なALM管理を行うとともに保険金支払いに備えた十分な流動性資産を確保することが重要であり、金融庁としては、各生命保険会社における資産の運用状況や運用に係る適切なリスク管理の高度化について、引き続き緊密に意見交換をしていきたい」

2022年9月期決算で各社の実質資産負債差額が大きく減ったのは、主に内外金利の上昇によって資産含み損益が急減したためです。実質資産負債差額は資産のみが時価評価で、保険負債の評価はいわば取得原価ベースなので、本来は金利上昇で経営内容が改善した会社が多いはずなのに、ALMの一環として長期債を保有している会社ほど数値が減ってしまいました。
もちろんALMの観点からは、低金利の時期に獲得した契約が、金利上昇時に解約となる可能性を無視することはできません。しかし、SMRに加えて実質資産負債差額の確保を求めるということは、すべての保険負債が一気になくなっても耐えうる資産を確保するように求めることなので、規制として明らかに行きすぎです。一定の流動性を確保すれば十分であって、おそらく金融庁もそう考えていると思いたいです。

私はかなり前から実質資産負債差額の廃止を主張してきました(例えばこちら(PDF)の10ページ)が、今回の決算をきっかけに、議論が進むことを期待しています。

なお、今回の決算では保険負債とは関係なく、海外金利の上昇によって保有する外国証券の時価が下がり、実質資産負債差額が大きく減ったという会社もありえます。こうした疑念が生じるのは、外貨建ての保険負債がどの程度あるのか公表されていないためでして、業界ないしは金融庁は早期に手を打つべきだと思います。

※京都御所のガイドツアーに参加しました。おすすめですよ。

 

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地震保険の加入状況

今週のInswatch Vol.1164(2022.12.12)に寄稿した拙文をこちらでもご紹介します。ご協力いただきました皆さま、ありがとうございました。
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地震保険の付帯率

福岡大学・植村ゼミでは全国学生保険学ゼミナール(RIS)という、リスクと保険を学ぶ大学ゼミの交流組織に参加し、全国大会での発表を3年生の活動の柱としています。今年のRIS全国大会(12月3日~4日、慶應義塾大学)では13大学16ゼミが研究成果を発表し、大学を超えた学生間の交流も見られました。
たまたま植村ゼミの1つのチームが「地震保険の付帯率(住宅物件の火災保険に地震保険が付帯されている割合)」をテーマに据えて、「付帯率が上がれば、35%程度にとどまっている世帯加入率も高まるはず」と考え、研究を行いました。私としても改めて地震保険の普及の難しさを知るいい機会となりました。

都道府県別に特徴がある

全国レベルで見ると、地震保険の付帯率は概ね直線的に高まっています。しかし、都道府県別の推移を追うと、付帯率の水準がバラついているだけでなく、過去の推移にも都道府県ごとの特徴があるとわかりました。
例えば、2016年の熊本地震で甚大な被害を受けた熊本県の付帯率は、震災後に急上昇して、その後も上がり続けています。これに対し、南海トラフ巨大地震の発生で大きな被害が想定されている静岡県では、保険料率の上昇が続いたこの5年間は付帯率があまり高まらず、ついには全国平均を下回ってしまいました。他方で高知県のように、保険料率の上昇が続いても高水準の付帯率を維持している県もあります。
地震保険の普及を進めるには、リスク認知の状況をはじめ、地域の実情に合った取り組みが必要ということを改めて確認できました。

販売の担い手は誰か

ゼミの研究では地域の実情を少しでも探るため、ある静岡県の保険代理店(プロ代理店)にインタビューを行わせていただきました。そこで出てきたのが「来る来る詐欺(=子どものころから大地震が来ると脅されてきたけど一向に来ない)」「金融機関が地震保険を積極的に勧めない」という話です。うちの学生は「来る来る詐欺」のほうに強い関心を持ったようですが、オブザーブ参加していた私には後者が引っかかりました。住宅向けの火災保険を販売しているのは誰なのか。恥ずかしながらこれまであまり意識したことがなかったからです。

残念ながら、保険種目別にチャネル別の業績を公表している会社はなく、業界団体の統計も見当たりません。SOMPOホールディングスが2017年度末までチャネル別営業成績を種目別に公表していたので、そのデータを確認したところ、金融機関の販売シェアは全種目合計では7%、火災保険では18%となっていました。この「火災保険」には企業物件や工場物件なども含まれるので、住宅物件に限れば金融機関の販売シェアはさらに高い可能性があります(データをご存じのかたはぜひご教示ください)。
現場の声とはいえ、1つの代理店の見解だけで決めつけることはできません。しかし、金融機関やハウスメーカーといった兼業代理店が地震保険をどの程度重視しているかというのは、注目に値するポイントだと思います。
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※京都で「朝のおつとめ」に参加しました。浄教寺にて。

 

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金利が上がったから金利リスクを削減?

インシュアランス生保版(2022年12月号第1集)に寄稿したコラムをご紹介します(見出しはブログのオリジナルです)。その後、経営方針の説明はありましたでしょうか?
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生保の資産運用計画

10月下旬に大手生命保険会社の資産運用計画(下半期)に関する報道があった。各社は半年ごとにマスメディア向けの運用方針説明会を行っていて、報道はこれを受けたものである。
このうち、説明会の内容(なぜか一般には情報公開されていない)を比較的そのまま報じていると思われるロイターとブルームバーグの記事をみると、大手生保はいずれも国内債券への投資を増やす計画となっていた。ここで言う国内債券は主として超長期債であり、多くの生保にとって超長期債の購入は安全資産への逃避ではなく、超長期の保険を提供してきたことに伴って抱えている金利リスクを減らす取り組みを意味している。

金利上昇は経営にポジティブなはずだが

記事に載った各社のコメントをそのまま紹介しよう。
「30年が1.5%程度に来ており過去数年と比べるとかなり投資しやすい環境(日本生命・10月24日のブルームバーグ)」「1%台後半であれば追加的な投入も検討できる」(住友生命・10月25日のロイター)」「今の時点ではそれなりに投資妙味がある、買って良い水準だと認識している(明治安田生命・10月25日のロイター)」。いずれも金利が上がったので超長期債への投資を増やすという内容だった。

各社が抱えている金利リスクとは、金利水準が下がると損失を被る(会社の価値が減ってしまう)リスクである。ということは、上半期の金利上昇により、大手生保の会社価値はむしろ高まっているはずだ。それにもかかわらず、各社は金利リスクの削減を加速すると言い、健全性のさらなる改善に舵を切ろうとしていることになる。

経営方針の説明が必要

第一生命のように経営として中長期的なリスク構成の見直しを打ち出し、金融関連のリスク削減を進めているのであれば、そのなかでのペースメイキングであると理解できる。しかし、そのような説明もなく「金利が上がったからリスク削減を進める」と言われても、何をしたいのか外部観察者からは全くわからない。
健全性が回復した現時点でもリスク削減が必要だというのであれば、そもそも回復する前にリスク削減を加速しなかった理由を説明してほしい(結果オーライということか?)。あるいは、もともと健全性に不安はなかったが、ここからリスク削減を加速することで、余剰となった資本を保険契約者等に還元する方針に転換したということか。余剰資本を海外M&Aなど新たな戦略的投資に回すという選択肢もありうるとはいえ、特に相互会社の場合、社員(契約者)がそうした経営方針を望んでいるとは考えにくい。

大手生保はガバナンス改革を進めているのであれば、形を整えるよりも、こうした局面で重要な経営方針を会社の内外にきちんと説明できることのほうが重要ではないだろうか。
このコラムは上半期決算の発表前に書いているので、掲載時には各社がすでに経営方針をきちんと説明していると期待したい。
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※トロッコ列車に乗りました。

 

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RIS2022全国大会に参加

この週末(12月3日、4日)は全国学生保険学ゼミナール(RIS)2022全国大会でした。今年は13大学・25チームが研究発表を行い、福岡大学の植村ゼミからも2チームが登壇しました。3年生ゼミの活動の柱がこのRIS全国大会での発表だったので、教員としては何とかここまでたどりつくことができて、ホッとしています。

植村ゼミの報告テーマは「地震保険の加入動向」「コロナで苦しむ学生向けの保険」でした。せっかくなので、それぞれについて簡単にご紹介します。

1.地震保険の加入動向

もともとは「地震保険の普及率が低いのはなぜか」という素朴な問題意識から始まりました。まず、火災保険付帯率の都道府県別データに加え、損害保険料率算出機構・日本地震再保険のご協力で入手した地方別データをいくつかの切り口で分析したところ、全国平均とは大きく異なる推移をしている県を見つけました。

・熊本県:震災後に付帯率が急上昇
・静岡県:地震リスクが大きいのに付帯率が停滞
・高知県:保険料が上がっても高水準の付帯率

そして、これらの原因を文献だけではなく、保険の販売現場への質問やインタビューなどを通じて探りました(ご協力いただいた皆さん、ありがとうございました)。リスク認知の難しさや保険販売者(銀行やハウスメーカー)への働きかけの重要さなど、私も勉強になりました。

2.コロナで苦しむ学生向けの保険

「うちの先生(植村)が言うように、コロナは深刻な病気ではなくなったので、保険金(給付金)を支払わなくて当然なのかもしれないけれど、今でもコロナにかかって経済的に苦しくなる学生はいるはずで、このままでいいのだろうか」という私への反発(?)がこのテーマを選んだ動機のようです(多少盛っています)。

保険会社が撤退したコロナ保険を学生が実現しようというのですから、保険としての突っ込みどころは満載です。それでも、対象となる福大生100人にニーズ調査を行い、他大学の感染データを調べることで福大データが異常値ではないと確認し、さらに、可能なかぎり安く補償を提供するために大学とのタイアップを考え、学生課に突撃(インタビューを実施)するなど、がんばって行動してくれました。

ゼミ生たちは他大学との質疑応答や実務家からのアドバイスなど、この2日間で多くの刺激を受けたのではないでしょうか。対面参加だったので、他大学との交流も多少はできたのかもしれませんね。4年生もオンラインで討論者の役割を果たしてくれて、助かりました。

※会場は慶應義塾大学の三田キャンパスでした。

 

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コロナと損保決算

最近発表された3メガ損保の決算資料やIR資料を眺めていると、損保グループでもコロナ関連の給付金支払いがかなりの金額で発生していることがわかります。

まず国内生保事業では、あんしん生命が約90億円、MSA生命が113億円、ひまわり生命が218億円の給付金支払いがありました。大半がみなし入院に伴う支払いだと考えられます。

これに加え、国内損保事業でも給付金支払いが発生しています。東京海上日動が220億円、三井住友海上が206億円、あいおいニッセイ同和が86億円、損保ジャパンが131億円です
(4社合計で643億円)。
種目別には「傷害保険」となっていますが、主に医療保険ではないかと。

(12/2加筆)
損保で医療保険を扱っている場合にはそうですが、傷害保険でも感染症特約などがあり、「主に医療保険」というのはあまり正確な表現ではなさそうです。 

さらに目を引くのは、台湾での損失計上です。東京海上グループは通期で960億円の関連損失、MS&ADグループは同200億円の支払いを見込むと発表しています。
台湾では2021年以降、損保業界によるコロナ保険の販売が広がっていたようです。ところが台湾政府は今年4月、それまでのゼロコロナ政策からウィズコロナ政策に転換し、感染者数が急増したため、台湾の損保業界全体が多額の支払いを迫られることになりました。東京海上グループが49%分を出資していた新安東京海上も増資が必要な状況となり、9月末に株式を追加取得して子会社にしました。

なお、自動車保険の損害率が顕著に上昇している(特にEIベース)のは、コロナの影響(交通量の回復)のほか、ひょう災など自然災害による支払いが多かったためです。とはいえ、自然災害を除くベースでみても、MS&ADの2社の損害率はコロナ前の水準を上回るところまで戻っており、今後の動向に注目です。

※写真は朝の岡山城です。

 

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上場生保の決算発表から

上場保険グループの4-9月期決算が発表されましたので、このうち生保(上場生保と損保の生保子会社)の注目指標をざっと眺めてみました。

4-9月期の生保事業は、①コロナ関連給付金支払いの影響、②内外金利上昇およびヘッジコスト上昇の影響、③円安の影響などなど、久しぶりに注目材料が目白押しです。加えて、それぞれの影響がどこにどのような形で出てくるのかにも注目です。
とはいえ、上場保険グループの決算資料をまだざっと眺めただけなので(すみません)、ここでは2点だけコメントしておきます。

1つは①に関して。第三分野にあまり注力してこなかった大同生命とソニー生命を除き、損益計算書の「給付金」が前年同期の1.5倍程度に増えています。9月下旬に支払い基準の見直しを行わなかったら、通期ではすごいことになっていたでしょう。

もう1つは②のうち、内外金利上昇の影響で「実質純資産(実質資産負債差額)」が大きく減っていることです。
現行のソルベンシー規制において、金融庁はソルベンシー・マージン比率とともに実質純資産の確保を求めています。ただし、実質純資産は単純に時価ベースの資産から負債(資本性の高いものを除く)を差し引いて計算するので、金利リスク削減のために超長期債を保有していると、この4-9月期のように超長期金利が上昇すると、数値が減ってしまいます(負債はいわば簿価ベースなので)。
金利上昇によって、経済価値ベースでは健全性が改善しているはず(フルヘッジであれば横ばい)なのに、現行基準ではむしろ悪化するように見えてしまうということで、私はかねてからこの指標を速やかに廃止すべきと主張してきたのですが…金融庁やメディアが妙な反応をしないことを期待します。

今週中には非上場の生保決算が概ね出そろうのではないでしょうか。

※写真は福岡城址です。秋ですね。

 

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保険専門団体の年次大会

今週のInswatch Vol.1160(2022.11.14)に寄稿した拙文をブログでもご紹介します。
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保険産業に深い関わりのある専門団体として、「日本アクチュアリー会」「日本保険学会」があります。先週の飛び石連休に両団体の年次大会がそれぞれ開催され、私も参加してきました。

アクチュアリーとは

皆さんは「アクチュアリー」をご存じでしょうか。
保険販売の現場や損害査定の場面など、保険産業は総じて人と人との生々しいやり取りに満ちあふれています。でも、皆さんが提供している保険のしくみそのものは、確率・統計の技術を駆使して成り立っています。将来の保険金支払いを確実なものとするため、日々活躍しているのがアクチュアリーです。
一般的には、難関と言われる資格試験に合格し、日本アクチュアリー会の正会員・準会員となった人のことをアクチュアリーと呼びます。

例えば、保険会社の取締役会は、「責任準備金が適切に積み立てられているか」「保険事業の継続性に問題はないか」などを確認するため、アクチュアリー(正確には日本アクチュアリー会の正会員で、一定の業務経験があるアクチュアリー)を「保険計理人」として選任しなければなりません。
また、生命保険会社は法令により、政府が定めた標準死亡率をもとに責任準備金を積み立てる義務がありますが(標準責任準備金制度です)、この死亡率を作成しているのは日本アクチュアリー会です。

なお、アクチュアリーが活躍するフィールドは保険会社(商品開発や責任準備金の計算など)だけではありません。将来の不確実な事象を評価するのが専門なので、企業年金やリスクマネジメント、最近ではデータサイエンスの分野など、活躍の場面が広がっています。

日本保険学会とは

他方、日本保険学会は社会科学系では最も古い歴史と伝統のある学術団体の1つです。「保険に関する研究と保険研究者相互の協力を促進し、かつ、国内外の関係学会、関係団体との連絡および交流を図ること」を目的としています。

学会員には法律系の研究者と、経済・商学系の研究者の両方がいます。例えば、同じ「自動運転車の普及」をテーマに取り上げても、法律系の研究者であれば、「事故発生時の責任関係はどうなるのか」「被害者はどう救済されるのか」などに関心を持つでしょうし、経済・商学系の研究者は、「保険産業にどのような影響を与えるのか」「保険の役割はどうなるのか」などを研究します(あくまでイメージです)。

こう書くと、なんだか敷居が高そうに見えてしまいますね。実は学会員の7割近くが保険産業に関わる実務家でして、学会では大学研究者と保険実務家が広く交流し、活発な意見交換を行っています。
私自身も、2020年からは大学研究者に該当しますが、それ以前から保険実務家として年次大会のパネルディスカッションに登壇したり、機関誌『保険学雑誌』に寄稿したりしてきました。

気候変動リスクへの対応

先週開催された両団体の年次大会では、いずれも多くの興味深い報告・パネルディスカッションが行われました。そのなかで、比較的近いテーマもあり、私はその両方に参加してみました。
日本アクチュアリー会の「あしたのために、その一:気候変動リスクマネジメント アクチュアリーもやもや解消レシピ」という、ちょっと変わったタイトルのパネルディスカッションは、気候変動リスクに対応する際の「もやもや感」を解消しようというものでした。リスク評価の専門家でも、最近の気候変動リスクをめぐる世界的な動きについては、どこか釈然としないものを抱えているのですね。

他方で、日本保険学会のシンポジウム「社会課題の解決に向けた保険の意義と課題」では、実務家から気候変動リスク対応などに関する国際的な議論の説明と、保険会社・共済団体によるSDGsへの取り組み状況の紹介がありました。
話を聞いていて、「経営としてSDGsへの取り組みをどう位置付けているのか」「契約者や株主はこのような取り組みをどう評価しているのか」など、いろいろ考えることができたのは大きな収穫だったと思います
(「もやもや感」は残りますが・・・)。
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※写真は京都・真如堂です。

 

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「フクダイズム」に登場しました

なんと大学から取材を受け、FUKUDAism(フクダイズム)というサイトに登場してしまいました。
このところコロナの保険に関する取材が続き、大学の広報部門ともつながりができたので、その流れでこちらに登場することになったのではないかと思います。よろしければご笑覧ください。
サイトはこちらです。

取材を受けることになり、サイト内を眺めていたら、卒業生にNHKニュース「おはよう日本」でおなじみの気象予報士・近藤奈央さんが福大OGであると知りました(こちらです)。彼女は卒業してから気象予報士を目指し、見事合格。毎朝楽しく観ているので、卒業生だとわかってうれしかったです。

※写真は京都の南禅寺と永観堂です。
 紅葉がきれいでした。

 

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