ブルームバーグ・テレビの収録

仕事の合間にブルームバーグ・テレビの収録に行きました。
テーマは「2009年の生保業界」。
新年4日あたりに流れるようです。

例年なら決算見込みと中期的な課題を話せばいいのですが、
「AIG」「金融危機」など不確定要素が多すぎます。
コメントが2009年どころか正月まで持つかどうか心配です^^

当面の注目ポイントということであれば、
 ・AIG系生保各社の売却動向
 ・米新政権の経済政策
 ・生損保の10-12月決算発表(2月半ば)
といったところでしょうか。

もう一つ、こちらはうれしいお話。
12月8日の週刊金融財政事情に拙著「経営なき破綻」の書評が載りました。
一橋大の米山先生によるものです。どうもありがとうございました。

 

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米国生保の投資家向け説明会

先週(4日)上場損保の決算説明会の話を書きましたが、
米国では先週後半から今週にかけて、大手生保の説明会がありました。
ニューヨークなのでさすがに出席していませんが、
HPで音声を聞いたり、資料をダウンロードしたりできます。

このところプルデンシャル、ハートフォード、メットライフといった
米国大手生保の株価が大幅に下がり、信用スプレッドも極端に拡大しています。
このため、説明の中心は「資本」「資産内容」「流動性」についてでした。
1年前とは様変わりです。

ある会社では、「S&P500が700まで下がっても、AA水準の資本を維持できる」
というコメントがあったり(ちなみに足元の株価水準は900程度です)、
政府の資本注入プログラムへの参加を公表したりと、
かなり踏み込んだ説明がありました。

各社の説明会(特にハートフォード)を受けて、株価は急回復。
説明会はとりあえず成功だったと言えるでしょう。

米国生保の現状については、どこかでレポートを書く予定です。

 

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日経と週刊朝日の生保関連記事

いずれも私のコメントが載っているので、ちょっとだけ感想など。

日経は12/6(土)の4面「変調生保(下)」です。
生保の基礎利益が圧迫されているのは、
「運用不振に加えて、保有契約が落ちているのも一因」
というものです。

ただ、今回の中間決算では主要生保の基礎利益が
軒並み減少しているのですが、一時的なコスト上昇や
変額年金の責任準備金負担などもあり、
基礎的な収益力が落ちたと言うには証拠不十分です。

金利上昇や追加責任準備金の効果もあり、
少なくとも逆ざやは改善しています。

週刊朝日の記事は巷で話題になったようです。
「危ない生保」というタイトルですから無理もありません。

特に注目されたのは、「株式純資産倍率」という指標です。
「株式」「外国株式等」の合計を「実質純資産額」で割ったもので、
マスミューチュアルと三井が2倍を超えています。
編集部のオリジナルかどうか知りませんが、興味深く感じました。

もちろん、この指標だけで生保の健全性を判断することはできません。

・「外国株式等」には外国株式以外のものが含まれている
 (主要生保では外貨建資産の内訳として株式が公表されています)
・株式投信やETFが反映されていない(開示資料ではわかりません)
・ヘッジ効果が反映されていない

こういった弱点もあるのですが、金融危機による内外株式の下落に
焦点を当てるという発想は理解できます。
確かに株式を持っていなければ、株安の影響を受けませんよね。

ちなみに私のコメントは、「今回は株価が落ちるスピードが格段に速い」
「①貯蓄性が高い、②予定利率が高い、③契約が終わるまでが長い
 という三条件に当てはまるほど、破綻によるダメージは大きくなる」
などでした。

 

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戦略的資源投入

ある上場損保の決算説明会で目にした言葉です。
政策株式は戦略的資源投入なのだそうです。

株式運用益に加え、安定的な企業保険収益の確保や
販売チャネルとの関係強化などに重要な役割を果たしており、
過去3年平均で約1.3%のリターン(国内保険収益のみ)とのこと。

しかし、必要資本の多くを株式保有リスクで費消し、
もちろん企業保険の保険引受リスクも抱えたうえで、
リターンはわずか年1.3%+αです。

株価が暴落しているなかでの投資家向け説明会で、
なぜあえて「戦略的資源投入」とうたったのでしょうか。
私には理解できません。

別の上場損保トップは決算説明会で
「株価下落による損失計上はやむを得ない」とコメント。

私は本来、「企業価値を損なってしまい、責任を感じている」
などと言うべきだと思うのですが、まるで、避けることのできない
自然現象のように聞こえました。

おかしいと思うのは私だけでしょうか?

 

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1月にスピーチをします

1月に東京と大阪で開かれる保険代理店向けセミナーでスピーチをします。
保険会社の経営破綻にどう対応するか、というテーマのセミナーで、
講師は私と、大成火災の破綻を経験した代理店の岡武さんです。

http://www.faren.co.jp/

「保険代理店向け」とありますが、たぶん代理店限定ではないと思いますので
ご興味のあるかたはぜひお越し下さい。

ところで、拙著「経営なき破綻」をご覧になった当時の関係者
(この本の協力者ではなく、初めてのかたです)から連絡があり、
先ほどお会いしました。

もしかしたら怒られるのかも、とやや緊張して臨んだのですが、
そのようなことはなく、当時の話をいろいろと伺うことができました。
そのかたの話でも、やはり「人の問題」が大きかったようです。

 

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「生命保険はだれのものか」

ライフネット生命・出口社長の最新作です。
名著「生命保険入門」を、より平易かつクリアにした感じの本でした。

本書で示されている日本の生命保険の問題点についての指摘は、
私の問題意識ともかなり共通しています。
出口さんのすごいのは、解決策を示すだけではなく、
自ら実践しているところです(最近も付加保険料を開示していますね)。

私にとって最も興味深かったのは、営業職員チャネルのコスト構造を
具体的に試算しているところでした。
「なるほど、こう説明すればいいんだ」と目からうろこでした。

あと、「タテ(歴史)とヨコ(世界各地)の両軸から迫らないと、
その事象の本質は理解できない」という記述もあって(P175)、
西洋史学科出身の私には、何だかとっても共感できました^^

おすすめの1冊です。

 

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主要生保の中間決算(続き)

前回のブログで、
「他の金融セクターに比べ、生保は9月時点では金融危機の影響は
 一部に限られていた」
と書きました。
しかし、外資系生保の決算を見ると、そうでもない会社が散見されます。

例えばアリコジャパンでは、保有するAIG株式が暴落したというだけではなく、
証券化商品(CMBSやRMBSなど)でも多額の含み損を抱えています。
アフラックの有価証券含み損も2000億円に達しており、保有する高格付けの外債
(為替リスクはとっていない)の価格下落が大きかったようです。

いずれもハイリスク投資で失敗したわけではなく、金融市場の混乱により
高い格付けの債券でも価格が大きく下がってしまった影響と考えられます。
先日の出張でも感じましたが、米国では市場と実態のギャップが
考えられないほど大きくなっているのです。

生保は負債が長期にわたるので、一部の証券化商品を除けば、
高格付けの債券が次々にデフォルトする(=その可能性は極めて低いと思います)
事態にでもならないかぎり、満期まで持ち続ければ全額返ってくるはずです。
株式だと、こうはいきませんよね。

 

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主要生保の中間決算(上半期報告)

主要生保の中間決算が出そろいました。

多くの新聞では、
「米国発の金融危機が生保の経営基盤を直撃」
「金融危機に伴う株価急落で含み益が大幅に減少」
「金融不安に伴う運用環境の悪化で業績低迷」
と、金融危機の影響を強調していますが、ちょっと無理がある感じ。

他の金融セクターに比べ、生保は9月時点では金融危機の影響は
一部に限られていたというのが正しそうです。

もちろん、外貨建資産のウエートが高いD社やF社、国内RMBS以外の
証券化商品が比較的多そうなm社ではそれなりに損失が出ていますが、
農林中金のように含み損が一気に拡大したり、大手損保のように
金融保証や信用保険で多額の損失が出たりするようなことはありませんでした。
銀行と違い、不良債権の拡大も見られません。
要するに、他の金融セクターとはリスクの取りかたが違っていたわけです。

ただ、10月以降は景色が変わってしまいました。
何といっても株価急落の影響は大きいです。
中間決算ではまだこのあたりの状況が反映されていないため、
霧が晴れない、もどかしい感じの決算発表でした。

 

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「共済特集」出ました


週刊東洋経済11/29日号は共済特集です。
昨年に続き、大手共済の経営分析を担当しました。

前回は初めてだったので、大手4共済(JA共済、全労済、
全国生協連、コープ共済)の紹介にかなりの字数を費やしました。

今回は前半部分をトピック重視にして、
 ・日本生協連の新共済連設立(兼業禁止なので)
 ・県民共済の軌道修正(還元一辺倒からの変化)
 ・全労済の事業モデル再構築
 ・JA共済、JAとの連携をどう強めるか
といった最近の話を中心に書きました。

後半は財務面の分析で、金融危機の影響が小さいことや、
大手共済のリスク耐久力や「一律保障」共済の収益構造について
独自の分析を行いました。

今回の一番の発見は、加入者数の伸び悩みが顕著になっていることです。
かつては「生保の補完」だったものが、近年は「メイン保障」となったため、
もはや家計の見直しが必ずしも共済陣営に追い風とならないのですね。

もちろん、生保に比べればはるかに高い成長なのですが、
ここからが正念場なのかもしれません。

 

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米国出張(その3)

あっという間に1週間がたってしまいました。
特に今回は違う町でも1泊したので、結構あわただしい出張でした。

こちらに来てみて、やはり普通の状態ではないことがわかりました。
金融市場は「疑心暗鬼」「恐怖が恐怖を呼ぶ」といった感じです。

たとえ保有資産が高格付けの債券ばかりの保険会社でも、
信用スプレッドの拡大が高格付け債券にも及んでいるため、
決算では多額の評価損(または含み損)が発生してしまいます。
相場の本格的な下げは10月以降なので、12月決算がちょっと怖いです。

 

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