ある保険評論家のかたが、朝日新聞の生保12月期決算(業績報告)記事を
酷評したという噂を耳にしたので、私も14日の新聞6紙を比べてみました。
各紙が取り上げた指標は次の通りです。
日経=最終損益、有価証券評価損、有価証券含み損益、SMR
朝日=最終損益、金融危機関連費用、準備金取り崩し額、実質純資産
毎日=最終損益、有価証券含み損益、SMR
読売=最終損益、有価証券評価損、保険料等収入
東京=基礎利益、経常利益、SMR、保険料等収入、新契約ANP
産経=最終損益、SMR
※SMRはソルベンシー・マージン比率、ANPは年換算保険料、
金融危機関連費用はキャピタル損益+変額年金の最低保証費用
今回の注目点は、当然ながら金融危機の影響です。
株安や円高、信用スプレッド拡大は「実現損」と「含み損益の悪化」
として表れるので、私は「最終損益」と「SMRまたは実質純資産」
という組み合わせが妥当かと思います。
SMRなのか実質純資産なのかは、大きな問題ではありません。
私だったらSMRを採用しますが、SMR=550%の大和生命が
半年後に破綻したことを考えると、実質純資産を選ぶ気持ちもわかります。
ただ、実質純資産は絶対額なので、相対評価ができないのが弱点です
(大手しか開示していないという弱点もあります)。
この組み合わせ以外だったのは読売と東京ですが、
読売は図表では「実現損」だけとはいえ、記事ではSMRに触れています。
他方、東京は基礎利益と経常利益なので、損益については「実現損」ではなく
金融危機の影響とは別のことを示したかったのでしょう
(経常利益を示した理由はわかりませんが…)。
あとは各紙の個性だと思うので、朝日新聞がなぜ酷評されたのか
私にはわかりません。
「わかりにくい」「凝りすぎ」という意見もあるでしょうけど、
「読者に何とか実態を伝えよう」という気持ちが私には感じられました
(成功しているかどうかはともかく)。
そういう自分だったら何を選ぶか、ですが、
最終損益、SMR、有価証券含み損益に加え、加工した指標を出そうと思います。
例えば、「純資産の部」「危険準備金&価格変動準備金」が
どれだけ減ったのかを見ると、金融危機の影響がよくわかります。
注として増資についてコメントが必要かもしれませんね。
絶対額だけではなく、SMRのリスク合計額で相対化するのが
いいかもしれません。
なんてことを一般紙ですると、酷評されそうですね…