生損保の4-6月期決算

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予告通り(?)今回は生損保の4-6月期決算について。
もちろん個人的なコメントということでお願いします。

新聞(日経など)をみると、生保は保険料等収入と基礎利益、
損保は正味収入保険料と当期純利益が示されています。

決算発表のたびに保険会社担当の記者さんが
どの指標を掲載すべきか悩んでいるのは承知していますし、
おそらく今回は私でも同じような指標を選んだでしょう
(「売上高」と「利益」ですから無難ですよね)。

ただ、冷静に考えてみると、生保の保険料等収入は
一時払商品が売れたかどうかで大きく振れてしまい、
何を示しているのかわかりません
(一部の生保では再保険の影響も大きいようです)

基礎利益や当期純利益はさらに難しいです。
季節要因が大きいだけではありません。
例えば変額年金では株安の影響が損益に直接反映されますが、
保有株式の評価損は一定以上の株安でないと計上されません。
必ずしも「赤字だから他社よりも厳しい」ではありません。

また、販売好調な会社ほど初期コストが利益を圧迫します。
もちろん年度決算でも同じことですが、四半期決算では
いっそう目立ってしまいます。

だからといって、四半期決算が役立たずなわけではありません。
注目すべきは貸借対照表(資産構成や純資産等)の変化です。

この4-6月期で言えば、債券価格の上昇に打ち消されているとはいえ、
やはり株安の影響はそこそこ大きかったようです。
加えて、4-6月期の大手生保の株式運用が、
会社によってかなり違っていたこともわかります
(第一と明治安田は売却、住友はもともと他社より少ない)。

足元では株安と円高が一段と進んでいるため、
引き続き四半期ごとのバランスシートの動向から目が離せません。

※同じホテルに泊まるのであれば、ビルしか見えない
 左の部屋よりも右の部屋に泊まりたいですよね。

 

※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

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「スマイル」アンケート

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生損保の四半期決算については後日触れるとして、
休みモードの今回は別の話を。

生保各社は時々独自のアンケート調査を発表しています。
有名なのが明治安田生命の「名前ランキング」。
2009年は男の子が「大翔」、女の子が「陽菜」でした
(どちらも読み方がよくわかりません...)。

第一生命の「サラリーマン川柳」もよく取り上げられますね。
最新サラ川トップは「仕分け人 妻に比べりゃ まだ甘い」、
僅差の2位が「『先を読め!』 言った先輩 リストラに」でした。

さて、この12日に発表された住友生命の「スマイル」アンケート。
笑顔をテーマにアンケートを行ったとのことです。

「あなたを笑顔にしてくれる人は誰ですか?」
→ 「子ども」が3割以上

「あなたを笑顔にしてくれるモノ(コト)は何ですか?」
→ トップ3は「食事」「お金」「スイーツ」

「あなたを笑顔にしてくれる言葉は何ですか?」
→ 「ありがとう」が5割で断トツ

このようなアンケート結果のなかで、

「1日のうちで笑顔になっている時間は、男性が女性の半分」

という結果あり、目を引きました。
女性のほうが笑顔で過ごしている時間が多いという結果です
(男性が75分、女性が161分)。

ただ、「1日のうちで笑顔になっている時間は何分ですか」
と聞かれたら、いったいどう答えるでしょうか?
常に笑顔でいると答える人から、数秒という人まで
おそらく回答には相当な幅があるでしょうから、
平均値をとったこの回答にはほとんど意味はないでしょう。

とはいえ、「元気で前向きなのは女性」というイメージからすると
何となくそうかなあとも思ってしまいますね。

※写真は「東京キャラクターストリート」です。
 東京駅の地下にあります。なかなか楽しいところですよ。
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※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

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東京タワー

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家族で東京タワーに行ってきました。
前に登ったのは、たぶん30年前くらいです。
夏休みの日曜日とあって、かなり混んでいました。

当時と比べて変わったなあと思ったのは、
展望台からの景色です。

子どものころ見た東京タワーからの景色は
低層の建物が密集していました。
超高層ビルは新宿のビル群と霞が関ビルくらいでした。

ところが、いまや超高層ビルが東京のあちこちにあります。
ビルにさえぎられ、丸の内や銀座は全く見えませんし、
新宿もよくわかりませんでした。
この30年間で東京の景色はずいぶん変わったのですね。

外国人観光客の多さにも少し驚きました。
やはり中国人観光客が目立ちます。
当時の東京も外国人は珍しくありませんでしたが
タワーは日本人ばかりだったように思います。

それでも東京タワーは以前と同じく
昭和の雰囲気が色濃く残る観光スポットでした。

 

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マイカー保有、初の減少

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7日の日経3面に、世帯当たりの自動車保有台数が
調査開始以来、初めてマイナスになったという記事が載りました。
大都市圏や若年層と40代の減少が目立つとのことです。

せっかくなので元データを見てみると、そもそもこの統計は
新聞にあるように自家用車の保有台数調査ではなく、
総務省が7/30に発表した「平成21年全国消費実態調査」の
「主要耐久消費財に関する結果」ということがわかりました。

総務省統計局HPへ

主要耐久消費財なので、自動車だけではなく、ルームエアコンや
携帯電話、テレビなど40数品目の所有状況を調査しています。
例えば、H16年よりも所有が増えているものとしては、
薄型テレビ(ちなみにブラウン管テレビは大幅に減少)、
携帯電話、ルームエアコン、パソコン、温水洗浄便座などです。

さて、自動車ですが、H元年以降の動きをみると、
軽自動車が伸び続ける一方、小型自動車が減少傾向、
普通自動車と輸入自動車は今回初めて減少となっています。

普通&輸入自動車の減少は景気低迷の影響が大きいのでしょう。
ただ、自動車を保有する世帯(単身世帯を除く)のうち、
約半数が2台以上を保有していることや、
地方や高齢世帯で保有が伸びていることを踏まえると、
自動車は地方の高齢世帯の必需品(おそらく一人一台)
という性格をますます強めているようです。

ちなみに横浜市港北区に家族4人で住んでいる私は
久しく車を所有していません(自転車は4台あります)。
子どもが小さいうちは不便に感じることもありましたが、
今では全くそのようなことはありません。

しかも、車がないと家計が年間70万円助かるという試算もあり
(私の場合)、よほど運転するのが好きでなければ
車を持つ意味はほとんどありません。
おそらくこのような消費者が増えているのでしょう。

 

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数学のプロ リスク予測

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2日(月)の朝日新聞に「アクチュアリー」の特集記事が載りました。
経済紙ではなく一般紙ということもあり、掲載までにかなり時間が
かかったようですが、担当者の熱意が実ったのでしょう。

単なるアクチュアリーの紹介になりがちなところを、
記事ではアクチュアリーの新たなフィールドや、
日本のアクチュアリーの現状にも踏み込んでいて
興味深い内容になっています。

「リスクを把握して経営に生かす分野に力を入れている人たち」
の例として、松山直樹さん、森本祐司さんが登場しています。
二人ともよく存じ上げている方々なので、これ以上のコメントは
やめておきましょう^^

記事の通り、「雇われている会社の殻に閉じこもり、
経営に直言できずにいるアクチュアリー」が多いのか、
そもそも経営者に進言するような問題意識を持っていない
アクチュアリーが多いのかは、なかなか難しいところです。

ただ、社内でアクチュアリーの存在感がもっと高まらなければ、
日本の保険業界は世界から取り残されてしまうのではないでしょうか。
そんなことを考えつつ、今日(4日)はアクチュアリー会の行事
(委員会等進発式)に出席していました。

※本文と写真は関係ありません。念のため。

 

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木を見て森も見る

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7/28に損保総研でIAIS(保険監督者国際機構)
河合美宏事務局長のスピーチを聞く機会がありました。
テーマは「国際保険規制の最近の進展2010」です。

金融危機以降の国際的な金融・保険規制の動向
(基本的に銀行を念頭に置いて議論が進んでいるとのこと)や、
IAISの主な活動(コムフレームなど)についての紹介がありました。

そのなかで出てきたのが「木を見て森も見る」という話です。

規制当局はこれまで個々の保険会社を監督してきましたが、
それだけでは十分でないことが金融危機で明らかになり、
保険業界全体に目配りする必要があるといった趣旨の話です。

確かに、ある保険会社が経営危機に陥った際には、
別の保険会社にも影響が及ぶおそれがありますよね。
あるいは、もし保険会社が一斉に株を大量に売りだしたら、
株価が急落し、場合によっては金融システムの動揺を招いてしまいます。

こうしたことも視野に入れて監督すべきということなのですが、
いざ取り組むとなると、どうしたらいいか考えてしまいます。

※いつものようにコメントは個人的なものです。

 

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国際会計基準への危惧

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7/27の日経「大機小機」です。
国際会計基準(というか時価評価)への反対論なのですが、
「またか」と思いつつ、つい反応してしまいます。

コラムの要旨は次の通り。

・この会計基準の基本思想は製造業や商業の会計の
 基本思想と合わないため、企業経営にゆがみが生じる。

・国際会計基準の利益(包括利益)は純資産の増加額。
 資産の時価評価を基本とした利益であり、短期志向の
 投資家の発想である。

・投資資産の時価がどれだけ上昇するかではなく、
 資産が企業の将来損益にどれだけ寄与するかをもとに
 投資判断を行うべき。

・金融監督当局がここまでコミットしてしまった段階では
 もう後には戻れないが、被害を最小化する努力は必要。
 導入に意味がないと考える企業には強要すべきではない。

「おバカな金融監督当局のせいで、産業界も金融界も困っている」
という主張のようですが、このようなコラムが載るところをみると、
時価評価へのアレルギーは相変わらず根強いものがあるのでしょうか。

もちろん、時価評価が万能だとは思いません。
何を持って時価とするべきかは、難しい問題です。

でも、会社価値の拡大を達成するのが経営の仕事ととらえると、
簿価会計よりも時価会計のほうが目標管理がしやすいです。
時価評価は必ずしも短期投資家の発想ではありません。

加えて、リスクを評価する際には、計量化しているかどうかは別として、
時価を意識してリスクの大きさを認識しているのではないでしょうか。
リスクは時価ベースでみて、対する純資産や収益は簿価ベースというのは
整合的ではありません。

そもそも損益計算を中心とした会計では経営はゆがまないのでしょうか。
売却損益や評価損益、償却損などで損益はいくらでもゆがみます。
その反省から時価評価を基本とした会計にシフトしようとしているのでしょう。

どちらのほうがマシかと聞かれれば、このコラムとは違い、
多くの人は時価評価と答えるのではないでしょうか。

※「大倉山」のふもとにある野菜スタンド。
 ここで買ったもぎたてトマトが実においしかったです。

 

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米国の住宅市場

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毎週公表される米FRB(連邦準備理事会)のバランスシートを見ると、
米国の住宅市場がいかにFRBに支えられているかがわかります。

21日時点のFRBの総資産は約2.3兆ドル。
このうち政府支援機関(ファニーメイ、フレディマック)が発行した
住宅ローン担保証券(MBS)が約1.1兆ドルです
(機関債を含めると約1.3兆ドル)。

MBS買取プログラムは2009年1月に始まり、
金融危機以降の住宅市場を下支えしてきました。

金融市場の回復に伴い、金融機関への政府支援は
AIGを除き、ほぼ解消しています。
しかし、このファニーメイ、フレディマックへの支援はそのままです。
支援規模もAIG関連とは比較になりません。
FRBは3月末でMBS買取プログラムを修了しましたが、
この先どう正常化していくのか、道筋は全く見えません。

ファニーメイ、フレディマックの存在は大きく、
残高ベースで全米の住宅ローン市場の約半分の規模があるそうです。
今回の米金融規制改革法にも住宅ローン関連については
盛り込まれませんでした。

バーナンキFRB議長が米景気の先行きについて
「非常に不確実」と懸念を表明するなかで、
大きすぎて手がつけられない状態とでも言うべきでしょうか。

※町内会主催の盆踊り大会に顔を出しました。
 いつもながら本文とは関係ない写真ですね(苦笑)

 

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大雨による被害

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昨年に続き、この7月も大雨による被害が各地で相次ぎました。

消防庁によると、今年の梅雨期の大雨による被害状況は
ほぼ全国に及んでいます。
住宅への被害も広がっており、床上浸水が2000棟近く、
床下浸水は4000棟を超えました。

詳しくは消防庁のHPをご覧下さい。 消防庁HPへ
自然災害が起きるとこのページで確認するようにしています。

保険アナリストをやっていると、つい損害額の大きさに目が向かい、
損害がかさむと「保険会社の経営は大丈夫?」という発想に
なりがちです。
「地球温暖化で自然災害が大規模化」といったニュースにも
敏感に反応してしまいます。

しかし、考えてみれば、こうした災害への備えとして
保険があるのですよね。
裏を返せば、保険の必要性を多くの人に感じてもらう
絶好の機会でもあるわけです。
もちろん、危機をあおるのは問題ですが...

※いつものようにコメントは個人的なものです。

※写真は地元のケーキ屋さん。
 今日(21日)は娘の誕生日なのです。

 

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大手銀、保険の品目拡大

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15日(木)の日経新聞「大手銀、保険の品目拡大」について。

「投資性商品に加え『医療』『介護』」
「手数料収入の安定狙う」
「『1ヵ所で相談』顧客に利便性」

という見出しが並んでいます。

銀行であらゆる金融商品の相談をしたいと考える人が
世の中にどれだけいるかどうかはさておき、
せっかく「銀行の保険販売」というテーマを取り上げたのに、
大手銀行の取り組みを並べただけの残念な記事でした。

そもそも、銀行の保険販売の現状がほとんど書いてありません。

2007年12月の全面解禁から2年半たったわけですが、
どの程度売れているのか、何が売れているのか、
どの銀行が売れているのか、といった何らかの現状分析
(ちょっとだけでもいいのです)を踏まえたうえで、
各銀行の取り組みを紹介するのが普通でしょう。

もし解禁後も全般的に低調というのであれば、
どこかに問題があるのでしょう。記事にあるような、

「休日や夜間でも相談や契約に応じる体制づくりが次の課題」

という次元の話ではないことは明らかです。

もしMS銀行が好調で、MF銀行がそうでないとしたら、
どこに違いがあるのかが知りたいですよね
(「保険コンサルタント」が力を発揮しているから?
 経営が保険販売をリテール戦略の柱に据えているから?)。

例えば、2009年度は大手生保の一時払い終身保険が売れました
(足元の動向は公表データがないのでわかりませんが…)。
銀行の顧客はこの保険を「保障」として買ったのか、
「貯蓄」あるいは他の目的で買ったのかがわかれば、
また別の切り口で大手銀行の取り組みを紹介できるでしょう。

いずれにしても、日経にはもう少し突っ込んだ記事を期待したいですね。

※写真はわが家のアイドル、白クマとグッピーです。

 

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