12. セミナー等の感想

西暦1000年の3大都市

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ライフネット生命創業者で、先日NHKで共演(?)
させていただいた出口治明さんの「歴史」講演を
聞く機会がありました。

そのなかで、西暦1000年の3大都市はどこか
(人口面で)という話があり、目からウロコでした。

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「開封」「コルドバ」「コンスタンティノープル」が
その答えです。

開封は中国(北宋)の首都です。
黄河と大運河の交わる商業都市として栄え、
数十万人の人口を擁していたそうです。
北宋には弱々しいイメージがありますが、
経済的に相当発展した時代だったようです。

コルドバは今ではスペインの地方都市ですが、
当時はイスラム王朝(後ウマイヤ朝)の勢力下。
国際都市として繁栄していました。
ムスリムだけでなく、多くのキリスト教徒や
ユダヤ教徒が暮らしていたとか。

コンスタンティノープル(今のイスタンブール)
というのも、高校世界史の知識からすると
意外に感じるかもしれません。

ビザンティン帝国(東ローマ帝国)というと
6世紀のユスティニアヌス帝の時代をピークに
衰退していったというイメージがあります。
しかし、8世紀あたりから勢力を盛り返し、
西暦1000年頃のコンスタンティノープルは
繁栄の頂点を迎えていたそうです。

私たちはどうしてもヨーロッパ中心史観の
影響を受けているので、こうして正しい知識や
歴史の大局的な流れを聴くのはいいですね。

出口さんの講演にはありませんでしたが、
(出口さんはあえて言及しなかったのかも)
現在の3大都市はどこだかわかりますか?

「東京(圏)」「デリー」「上海」だそうです。
欧米勢でベスト10入りはニューヨークだけ
というのも興味深いです
(西暦1900年はほぼ欧米勢だけでした)。

※写真は横浜の洋館です。

 

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GPIFによるESG指数採用

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日本価値創造ERM学会の研究発表大会
およびセミナーに参加し、主にESGに関する
話を聞きました。

招待講演「GPIFによるESG投資への取組みと
今後の展望」では、GPIFが委託先の運用機関
に対し、ESG(環境・社会・ガバナンス)に考慮
した投資を求めるとともに、国内株式が対象の
「ESG指数」を選定し、これに基づく運用を始める
というものでした。
(参考)GPIFのサイトへ

また、野村証券の張替一彰氏による講演では、
GPIFが採用した2つのESG指数を比較分析した
結果が示されました。

投資先の企業価値を図る材料として、定量的な
財務情報に加え、ESGを含む非財務情報をより
活用すべきだと思いますし、「ESGの要素に配慮
した投資は長期的にリスク調整後のリターンを
改善する効果があると期待できる」(GPIFによる)
というのも、まだまだ証拠不十分とは思いつつ、
理解できなくはありません。

ただ、GPIFのような運用資産が149兆円にもなる
大規模な長期投資家の影響力は大きいので、
今回のESG指数運用の開始により、非財務情報
(特にESG情報)の積極的な開示を促す効果が
期待できる一方、上場企業のESG対応の主眼が
ESGスコアを高めることに向いてしまわないかと
心配になりました。

いろいろ考えると、同じく「非財務情報の活用」
ではあっても、

・中長期的な企業価値を評価するには、財務情報
 とともに非財務情報を活用する必要がある
 (=投資家として非財務情報の充実を求める)

という話と、

・中長期的に企業価値を高めるには、ESGなど
 持続可能な経営環境が必要である
 (=投資家としてESGへの取組みと情報開示を
   求める)

という話は、共通する部分が多いとはいえ、
整理して考えたほうがいいのかもしれません。

※写真は御茶ノ水です。

 

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RINGの会20周年

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保険代理店の情報交流組織である
RINGの会が設立して20周年を迎え、
横浜で記念セレモニーを行いました。

会場には来賓として、保険流通業界の
交流組織として知られる新旧3団体の
トップが顔をあわせました。

 ・日本損害保険代理業協会
 ・保険健全化推進機構 結心会
 ・保険乗合代理店協会

先日のRINGオープンセミナーでもヒツジや
カモメとラスカル、パンダが一堂に会する
(業界的には)珍しい光景が見られましたが、
RINGの会が組織として色がついていない
ということの表れではないかと思います。

資料を確認すると、私がRINGの会に関わる
ことになってから、ほぼ10年になるようです。
2007年のオープンセミナーへのゲスト出演
(ライフネット創業者の出口さんなどと共演)を
皮切りに、セミナーには5回登壇しています。

オープンセミナーで有名なRINGの会ですが、
ネットでの情報交流だったり、メンバー限りの
「オフ会」も盛んです。
この10年、私もほぼ毎回オフ会に顔を出し、
販売現場の生の声を聞いてきました。

設立後の20年間はちょうど保険自由化の
進展した時期で、保険流通を取り巻く環境が
大きく変わりました。
代理店数の減少傾向も続いています。

そのようななかで、代理店経営者が独自の
情報を持つ重要性は、これからも一段と
高まっていくと思います。
情熱あるメンバーによる情報交流が引き続き
盛んに行われるといいですね。

 

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がん医療の”今”を知ろう

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「がん医療の“今”を知ろう!」という
ある大学の高校生向け講義を聞きました。

まず、国立がん研究センターが集計した
5年生存率(相対と実測)データ等が示され、
治療が難しい部位もあるとはいえ、総じて
がんは不治の病ではなく、「慢性疾患」と
考えましょうという話がありました。

すなわち、現在のがん医療は5年生存率を
高めることを重視しているわけではなく、
「かんと共に生きる」「サバイバーシップ」
という考えが基礎となっているのだそうです。

医療は患者がその人らしく生きぬくのを
サポートするということなのですね。

 ご参考(講義資料ではありません)↓
 国立がん研究センター「最新がん統計」
 (より最新の統計はこちらに)

そうだとすると、がん罹患後の経済状態が
重要になりますが、講義ではがん罹患後に
約3割が退職というショッキングなデータも
示されていました。

帰宅後に調べてみると、厚労省サイトにある
がん患者のおかれている状況と就労支援の
現状について」という資料の8ページ以降に

 ・勤務者の34%が依願退職、解雇されている
 ・自営業者等の者の17%が廃業している

という調査結果が出ていましたし、8月1日に
ライフネット生命が公表したアンケート調査でも

 ・(罹患後の)収入減少の理由は、「休職」
  「業務量のセーブ」「退職」がTOP3

とありました。

患者の状況により「退職」の深刻度合いは
様々だとは思うので、「だから保険が必要」
と言うのはちょっと短絡的かもしれませんが、
仕事と治療を両立できる環境が求められて
いるということがよくわかりました。

こういう現実的な話を高校生にするのは
大変いいことだと思います。
同席していたわが家の受験生がこの講義を
どう受け止めたのか定かではありませんが…

※海賊船に乗り、大涌谷で黒たまごという
 典型的な箱根観光をしてきました^^

 

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JARDISの研究大会

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この週末は日本ディスクロージャー研究学会の
大会に参加してきました。
学会のサイトへ

統一論題「ディスクロージャーのコストとベネフィット」
では、進んだディスクロージャーを実施している企業
(オムロン)の事例を伺うとともに、お二人の研究者が
現状を踏まえつつ、今後の研究のあり方を模索する
といった内容でした。

ディスクロージャーのコストというと、つい規制対応の
費用などを頭に浮かべてしまいますが、会場では
情報開示によって競争上の不利益が生じるコストに
ついての発表がありました。なるほど。

また、ESG(環境、社会、ガバナンス)についても、
ESGの取り組みと経済効果(資本コストの低下や
株価上昇など)の相関関係を示す研究は増えて
いるものの、ESGがどのようなメカニズムで持続的
成長や価値に結びつくのかを検討する必要がある
という発表があり、思わずうなずいてしまいました。

パネルディスカッションでは、研究者からの質問が
オムロンのIRオフィサーである安藤聡さんに集中。
安藤さんは大変だったと思いますが、的外れの
質問はなく、これなら実務家と研究者の連携も
進むのではないかと、ちょっぴり期待が持てました。

それにしても、できるだけ異業種に目を向けようと
心掛けているつもりですが、どうしても保険ムラの
思考回路になりがちなので、このような機会は
頭の刺激になりますね。

※会場は仙台の東北大学でした。

 

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保険自由化20年

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日本保険学会の関東部会がミニ・シンポジウム
「保険自由化20年」を開催しました。
当日のレジュメはこちらでご覧になれます。
関東部会のサイトへ

確か「自由化後10年」という企画もあったはず、
と『保険学雑誌』のバックナンバーを調べると、
2008年10月の大会で「自由化後10年の検証」
というシンポジウムが開かれていました。

司会が東大(当時)の山下先生、シンポジストが
慶大の堀田先生、一橋大(当時)の米山先生、
弁護士の上柳先生という豪華メンバーでしたが、
実は私も登壇していたことが判明。
恥ずかしながらミニ・シンポジウムの席では
すっかり失念していました。
保険学雑誌第604号

当時はリーマンショック後の金融危機の最中で、
同じ10月にAIGが日本の生保事業からの撤退を
発表したり、大和生命が経営破綻したりと、
連日対応に追われていたのでしょう(言い訳)。

自由化10年では、経済・商学系の研究者と
実務法律家、アナリストという顔ぶれでしたが、
今回の「20年」は3名とも保険業界の方々でした。

内容は当日のレジュメをご覧いただくとして、
明治安田生命の上原さんが自由化後の20年を
前半と後半に分けていたのが興味深かったです。
前半の10年は規制見直しが進んだものの、
後半の10年はグループ規制を除き、規制緩和は
あまり進展がなかったことを示していただきました。

あえてコメントすれば、2006年でビシッと切らず、
前半の規制見直しフェーズと、後半の見直しによる
影響フェーズを多少オーバーラップして捉えるのが
妥当なようにも思えますし、もし、20年間を通じて
規制緩和が進まなかった事項があるとしたら、
合わせて示していただけるとありがたいでしょうね。

今回のミニ・シンポジウムを業界人から学界への
情報提供ととらえると、そもそも自由化の目的は
何であり、それが20年でどの程度達成できたのか、
あるいは、副作用や意図せざる状況を招いたのか、
といった視点のお話しも伺いたかったです
(そのような質問はありました)。

あと、自由化による競争促進とは、保険会社が
以前よりリスクテイクできる状況になることなので、
監督当局としては、財務・業務の健全性確保と
セーフティネット(広義)の整備が必須となります。

業務の健全性と各種のセーフティネットの整備は
それなりに進む一方、財務の健全性については
どうでしょうか。

せっかく2007年にソルベンシー規制の見直しを
当時の検討チームが提言したにもかかわらず、
10年たっても未だに見直しが道半ばなのですが、
そのような視点があってもよかったように思います
(ERMに関する言及は栗山さんからありましたね)。

とはいえ、いろいろ考えるきっかけををいただいた
という意味で、大変有益なシンポジウムでした。

※大倉山公園の近くにある大乗寺の境内には
 なぜか相鉄線の電車が飾ってあります。

 

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InsurTechのイベント

 

4/10(月)の「【緊急開催】 InsurTech Meetup」
というイベントに出席したところ、日本の現状は
「まだスタートラインにも立っていない」という、
かなりお寒い状況にあるとのことでした。

イベントは、弁護士の増島雅和さんの講演と、
原健一郎さん(DCM Ventures Investment)
佐俣アンリさん(ANRI GeneralPartner)、そして
増島さんによるパネルディスカッションがあり、
最後にネットワーキング(懇親会)というもの。

増島さんの講演も、パネルディスカッションも
非常に興味深い内容でした。

例えば増島さんによると、しばしば耳にする
次のような話は「間違った理解」だそうです。

・保険の規制は厳しく、従前の業界慣行を
 踏まえると、日本には海外のInsurTechの
 ビジネスモデルは入ってこれない。

⇒ 規制や業界慣行はInsurTechの流れを
  止めることができない。

・日本企業もテレマティクス保険やウエアラブル
 端末を用いた医療保険の開発に取り組んで
 いるからInsurTechに遅れていない。

⇒ InsurTechを進めるにはオープンイノベー
  ションが不可欠。

・海外のInsurTechサービスも大した規模ではなく
 InsurTechはニッチサービスに過ぎない。

⇒ 現在のInsurTechは、第四次産業革命による
  保険の革新に突入する準備フェーズ。

資料には「なぜ間違っているのか」という説明も
ありますので、こちらのサイトをご覧ください
(ご本人に確認済です)。

特に2つめの指摘は、目からウロコというか、
私見ですが、日本でInsurTechが遅れている
という最大の理由なのかもしれません。

増島さんは資料のなかで、

・ディスラプティブ(破壊的)イノベーションは
 狙ってできるものではなく、試行錯誤の中から
 しか生まれない

・イノベーションの成功確率を高めるには、
 最小コストでうまくいかない例を可能な限り
 多く試すこと

と述べているのですが、他方で日本企業には
「失敗を許さない文化」「大きな経営判断ミスより
粒々の損失を責められる」などが目立ちます。

だからこそスタートアップとの協業ということかと
思いますが、せっかく協業しても、この文化の
違いをちゃんと理解したうえで進めていかないと、
イノベーションは生まれないのでしょう。

InsurTechというと、AIやビッグデータの活用など
テクノロジーの進化に注目が集まっています。
でも、本質はそこではないのですね。

※左は中目黒駅のホームから撮った写真。
 右は浜離宮の菜の花です。

 

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建設的な対話

 

日本価値創造ERM学会のシンポジウムで、
オムロンのIR担当役員である安藤聡さんと
京都大学・川北英隆教授の対談を聴いてきました。

オムロンはIR優良企業として知られています。
対談といっても、専ら川北さんが安藤さんに
問いかけるスタイルでしたが、安藤さんのお話は
なかなか刺激的なものでした。

投資家には日本版スチュワードシップ・コードが、
上場企業にはコーポレートガバナンスコードが
それぞれ入り、企業と投資家の「建設的な対話」が
期待されています。

しかし、安藤さんによると、長期視点を標榜する
投資家であっても、対話を通じて有益と感じるのは
わずか1割程度とのことでした。

なかには、「会社がスチュワードシップ・コードを
採択したので、対話をしなければならない」から
対話を希望する不勉強なアナリストもいるとのこと。

セルサイドのアナリストへの目線も厳しく、
レポートがショートターミズム(短期志向)のもの
ばかりで、本源的価値を見ようとするアナリストは
ごくわずかという話でした。

もっとも安藤さんは、建設的な対話のためには
企業による情報開示が必要とも話していました。

同じ趣旨のコメントを、最近読んだ、
「点検 ガバナンス大改革」(格付投資情報センター編)
でも見つけました。

「2つのコードが機能し始めた状況のなかで、
 筆者は『投資家の行動は確実に変わりつつ
 ある』と実感しているが、一方で劇的に変化
 したとはいえないことも事実である」

「建設的な対話やその先にあるエンゲージメントを
 行うためには、まず企業がESG(環境、社会、
 ガバナンス)を含めた、さまざまな経営情報を
 自発的に開示することが必要条件だからである」

 ※いずれも同書から引用

もちろん、機関投資家が長期視点で分析・評価し、
企業価値向上のために有益な提案を行うことを
求められているとはいえ、それは十分条件であり、
まずは企業による情報開示が必要ということです。

コードを制定し、社外取締役を入れたからといって
それだけで攻めのガバナンスが実現するのではなく、
むしろここからがスタートなのでしょう。

※写真は山形新幹線「つばさ」です。
 いまはこのようなカラーなのですね。

 

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「生保の将来」

 

先日、ライフネット生命の出口治明会長の
お話を伺う機会がありました
(聞き手は保険業界関係者です)。

当日の演題は「生保の将来」でしたが、
「数字・ファクト・ロジックのみで考える」ということで、
人口動態や世帯当り所得、OECD加盟国における
日本の位置付けといった各種のデータをもとにした
スピーチは非常にわかりやすく、参考になりました。

「社会構造が変わったのに、何もしていない」
「ということは、何かやれば伸びしろは大きい」

結論としては、前者だけではなく、後者を考えれば、
日本の将来は明るいという話でした。

タイトル「生保の将来」に直接関係した話としては、
出口さんが次の2つを挙げているのに注目しました。

・死亡保険から就業不能保険に(主役の交代)

・終身介護保険(年金)への挑戦

日本ではすでに世帯の主流が夫婦と子ども世帯ではなく、
大人一人家族になっているなかで、働けなくなった時の
保障はもっと注目されてもいいでしょうね。

終身年金に関しては、保険会社がニーズに応えるには
トンチン性、すなわち、長生きした人がより多くの給付を
受けられる仕組みを使うしかないとのご主張でしたが、
確かにタブー視せず、考えるべきテーマだと思いました。

※左が丸ビル、右が帝国ホテルです。

 

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OLIS東京セミナー

 

昨年に続き、OLIS(アジア生命保険振興センター)
主催のセミナーで講師を務めました。

参加者はアジア諸国からの生命保険関係者で、
人数の多い順に台湾、中国、韓国、インドネシア、
フィリピン、タイ、ウズベキスタン、ベトナム、
カンボジア、モンゴル、パキスタンなどなど。

全体のテーマが「リスクマネジメント」だったので、
保険会社のリスク管理部門のかた、あるいは、
保険監督を担当しているかたが多かったようです。

私は「保険会社の破綻リスクと破綻処理」をテーマに
2時間ほどスピーチしたのですが、うれしいことに
質問がたくさん出たので、時間をぎりぎりまで延長して
応答しました。

日本の中堅生保の破綻事例や破綻処理、さらには
最近の日本の保険行政や保険業界の取り組みの
話を聞いて、参加者からどんな質問があったのか、
なかなか興味深かったのでご紹介しましょう。

例えば、次のような質問がありました。

・破綻後に保険会社の商品戦略がどう変化したか

・事例によって責任準備金の削減幅が違うのはなぜか

・更生手続きのスポンサーは金融庁が指名するのか

・保険とは違い、銀行の預金者は全額保護されたそうだが、
 保険でもそのような動きはないのか

このような質問が出る背景には、各国で経営危機に陥る
保険会社がそこそこ現れており、他人事ではなく、
自らの問題として受け止めているからなのでしょう。

「一連の破綻が起きるまで、保険行政は何を見ていたのか」
という、何だか責められているような質問もありました。

また、最近の話としては、

・今の低金利下で、どのような商品が売れているか

・ORSAレポートに対する当局の詳細な指示があるのか

・保険会社は銀行にどの程度手数料を支払っているか

といった具体的な質問が目立ちました。

他方、日本の保険会社による海外進出に関する質問は
考えてみれば全くありませんでした。
参加者にとっては身近な話ではないのでしょう。

そういえば、「生保危機後に保険会社がどう変わったか」
という質問はありましたが、ソルベンシー規制の見直しなど
保険行政がどう変わったかという質問もなかったですね。

生保市場は地域により特性がかなり異なるとはいえ、
低金利の影響や国際規制対応、バンカシュランスなど、
共通する話も多いと改めて感じました。

※会場は等々力渓谷の近くにあります。
 もう少ししたら紅葉がきれいでしょうね。

 

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