日本価値創造ERM学会の研究発表大会
およびセミナーに参加し、主にESGに関する
話を聞きました。
招待講演「GPIFによるESG投資への取組みと
今後の展望」では、GPIFが委託先の運用機関
に対し、ESG(環境・社会・ガバナンス)に考慮
した投資を求めるとともに、国内株式が対象の
「ESG指数」を選定し、これに基づく運用を始める
というものでした。
(参考)GPIFのサイトへ
また、野村証券の張替一彰氏による講演では、
GPIFが採用した2つのESG指数を比較分析した
結果が示されました。
投資先の企業価値を図る材料として、定量的な
財務情報に加え、ESGを含む非財務情報をより
活用すべきだと思いますし、「ESGの要素に配慮
した投資は長期的にリスク調整後のリターンを
改善する効果があると期待できる」(GPIFによる)
というのも、まだまだ証拠不十分とは思いつつ、
理解できなくはありません。
ただ、GPIFのような運用資産が149兆円にもなる
大規模な長期投資家の影響力は大きいので、
今回のESG指数運用の開始により、非財務情報
(特にESG情報)の積極的な開示を促す効果が
期待できる一方、上場企業のESG対応の主眼が
ESGスコアを高めることに向いてしまわないかと
心配になりました。
いろいろ考えると、同じく「非財務情報の活用」
ではあっても、
・中長期的な企業価値を評価するには、財務情報
とともに非財務情報を活用する必要がある
(=投資家として非財務情報の充実を求める)
という話と、
・中長期的に企業価値を高めるには、ESGなど
持続可能な経営環境が必要である
(=投資家としてESGへの取組みと情報開示を
求める)
という話は、共通する部分が多いとはいえ、
整理して考えたほうがいいのかもしれません。
※写真は御茶ノ水です。