7/27の日経「大機小機」です。
国際会計基準(というか時価評価)への反対論なのですが、
「またか」と思いつつ、つい反応してしまいます。
コラムの要旨は次の通り。
・この会計基準の基本思想は製造業や商業の会計の
基本思想と合わないため、企業経営にゆがみが生じる。
・国際会計基準の利益(包括利益)は純資産の増加額。
資産の時価評価を基本とした利益であり、短期志向の
投資家の発想である。
・投資資産の時価がどれだけ上昇するかではなく、
資産が企業の将来損益にどれだけ寄与するかをもとに
投資判断を行うべき。
・金融監督当局がここまでコミットしてしまった段階では
もう後には戻れないが、被害を最小化する努力は必要。
導入に意味がないと考える企業には強要すべきではない。
「おバカな金融監督当局のせいで、産業界も金融界も困っている」
という主張のようですが、このようなコラムが載るところをみると、
時価評価へのアレルギーは相変わらず根強いものがあるのでしょうか。
もちろん、時価評価が万能だとは思いません。
何を持って時価とするべきかは、難しい問題です。
でも、会社価値の拡大を達成するのが経営の仕事ととらえると、
簿価会計よりも時価会計のほうが目標管理がしやすいです。
時価評価は必ずしも短期投資家の発想ではありません。
加えて、リスクを評価する際には、計量化しているかどうかは別として、
時価を意識してリスクの大きさを認識しているのではないでしょうか。
リスクは時価ベースでみて、対する純資産や収益は簿価ベースというのは
整合的ではありません。
そもそも損益計算を中心とした会計では経営はゆがまないのでしょうか。
売却損益や評価損益、償却損などで損益はいくらでもゆがみます。
その反省から時価評価を基本とした会計にシフトしようとしているのでしょう。
どちらのほうがマシかと聞かれれば、このコラムとは違い、
多くの人は時価評価と答えるのではないでしょうか。
※「大倉山」のふもとにある野菜スタンド。
ここで買ったもぎたてトマトが実においしかったです。