20日に3メガ損保の決算発表がありました。
2014年度までのような株高、円安の恩恵はなく、
国内では自然災害の影響もそこそこありましたが、
各社とも90%台前半のコンバインドレシオを維持し
(国内損保事業)、海外事業も貢献しました。
ただし、自動車保険の台数伸び悩みは変わらず、
9月期に比べると、単価上昇も鈍っているようです。
TMNF: 台数 +1.5%、単価 +1.8%、保険料 +3.3%
MSI : 台数 +0.4%、単価 +2.5%、保険料 +3.0%
ADI : 台数▲1.1%、単価 +2.7%、保険料 +1.5%
SOMPO:台数▲0.5%、単価 +2.7%、保険料 +2.2%
*TMNF=東京海上日動、MSI=三井住友海上
ADI=あいおいニッセイ同和
SONPO=損保ジャパン日本興亜
火災保険では、10年超の長期契約の販売停止を受け、
昨年9月までの駆け込みの影響が通期でも見られます。
もちろん、下期だけを見れば減収となっています。
特に駆け込みの影響が大きかったMSIとADIの減収が
目立つようです。
なお、いくつかのメディアで、「長期火災が利益を押し上げ」
という趣旨の記事を見かけましたが、これは間違いです。
確かに長期火災の収入保険料は大きいのですが、
未経過部分(付加保険料を含む)を責任準備金として
繰り入れる必要があります。他方で代理店手数料は
保険料に比例して支払われるため、当期の会計利益は
むしろマイナスとなってしまうのです
(異常危険準備金の繰入負担もありますね)。
金利低下の影響についても見てみましょう。
損保事業は金利低下の影響を受けにくそうですが、
メガ損保はいずれも生保を中核事業の一つとしており、
金利低下が無視できない状況となっているようです。
例えば、東京海上Gの事業別利益を見ると、
2015年度の国内生保事業は▲1881億円でした。
あんしん生命のMCEVが金利低下の影響を受け、
大きく減ったことが主因です。
また、SOMPOでは内部管理用のリスク量の内訳を
公表しており、ひまわり生命のMCEVと併せて見ると、
国内生保事業の健全性が急低下したことがわかります
(MCEV/リスク量の数値を推計)。
いずれも会計利益にはほとんど表れないとはいえ、
金利低下がメガ損保にとってマイナスに効いていることが
うかがえます。
※エストニアの列車はオレンジ色の最新型でした(写真左)。
右の高速船に乗ると、フィンランドから2時間弱で到着です。