「ビジネスマンのための『行動観察』入門」を読みました
(著者は松波晴人さん。講談社現代新書です)。
「行動観察」とは、観察者が様々なフィールドに入って
対象となる人間の行動をつぶさに観察したうえで分析し、
問題解決法を提案する手法のことです。
アンケートやグループインタビューでは、主として
顕在化しているニーズやリスクを収集することになります。
これに対し、行動観察では本人がそうと認識していない
課題やニーズを知ることができます。
「今どんなリスクに直面していますか」と聞かれても、
それがリスクだと気が付いていなければ、回答しませんよね。
さらに、行動観察では、アンケートやインタビューで生じがちな
バイアスを排除することもできます。
本書では「アンケートでは社会通念に反する回答は出てきにくい」
とありました。確かにそうかもしれません。
ただ、行動観察が十分な効果を上げるかどうかは、
どうも観察者の力量によるところが大きいように感じました。
本書で観察の対象となった現場は、「販売イベント会場」
「営業マンの行動」「残業だらけのオフィス」「飲食業」「書店」などで、
筆者のチームはそれぞれでかなりの成果を上げているのですが、
やはり観察経験を踏むほど、成果が上がっているようです。
著者も、観察者が学ぶべき二つのポイントとして、
・自分の価値観から自由になる
・人間についての知見を持つ
を挙げ、どちらも大変な労力と時間がかかると述べています。
とはいえ、「フィールドを観察し、よい仮説を立て、それを検証する」
という自然科学の流れをビジネスで応用するという「行動観察」は、
ERMの構築サポートでも応用できそうです。
※連日天気が悪いので、このような月がなかなか見られませんね。