最近のメディア対応から3点ほどご紹介します。
日経のコメント
6月29日の日経マーケット総合面「社債、金融規制が追い風」の取材を受け、私のコメントも載りました。
国内社債市場で空前の好需給が続いている背景に銀行や保険会社の規制対応があるという記事で、採用されたコメントは(超低金利下での積み増しに慎重な生保は多いものの)「超長期債への潜在的なニーズは根強い」というものです。
見出しの「生保健全性に新指標 超長期債に需要」からすると、突然降ってわいたような話のように見えてしまいます。でも、保険業界の皆さんにはご承知のとおり、この件は何年も検討が続いていることであり、かつ、すでに多くの会社で経済価値ベースの経営管理が採用されているという状況です
(活用の程度はともかくとして)。
それにこの規制は、今まで認められていたものが禁止されるというのではなく、今までの規制ではうまく反映されていなかったものが反映されるようになるという話です。ですから、規制導入後にリスクを抱えすぎていることが見えてしまうのであれば、今でもリスクを抱えすぎているということになります。
inswatchのレポート
6月28日のプロフェッショナル・レポートに「3メガ損保グループ決算にみる意外なリスクテイクの現状」を寄稿しました。
・メディアの増益報道はミスリード
・自然災害が各社の財務健全性に与えた影響は軽微
・経営に最も影響を与えたのは生保事業だった
このような内容でして、下記の図表などを使い、グループにおける生保事業の影響力が高まっていることを説明しました
(図表から、国内生保事業の経営リスクが無視できない割合となっていることがわかります)。
損保グループの生保事業に関しては、金利リスクをどうコントロールしていくかという課題のほかに、経営者向け保険のブームが終焉した影響も無視できないのではないかと考えていまして、ひそかに(?)注目しているところです。
書評「本当にそうなのか?」
週刊金融財政事情(2019.7.1)の書評「一人一冊」に寄稿しました。
今回取り上げたのは一橋大学の円谷昭一先生による「コーポレート・ガバナンス『本当にそうなのか?』-大量データからみる真実-」です。
本書では開示されている大量のデータを使い、コーポレート・ガバナンスに関する議論のなかで通説とされていることが本当にそうなのかをあぶりだそうとしています。
ガバナンスをめぐる議論において、「ごくごく一部の事例や個々人の経験や思い込みをもって議論がなされ、その結果として何らかの社会的制度が新設・改訂されたとしても、影響は全員(全上場会社)が受ける」という問題意識が円谷先生を動かしているとのことで、好感を持ちました。
※明大中野キャンパスで楠岡成雄先生の記念講演がありました。