前回の損保に続き、生保の中間決算についてのコメントです。
欧州のPIIGS向け投融資の動向に注目が集まり、
決算そのものの報道が少なかったように思います。
データを見ると、基礎利益の不思議な動きが気になりました。
「5社減益、三井は赤字」(25日の日経)とありますが、
変額年金の最低保証リスク対応を除けば、多くは増益です。
決算資料とBloombergの記事などからざっと計算してみると、
大手4社合計で約570億円の増益となっています。
このうち逆ざや額の縮小が約370億円とのことなので、
残りの約200億円は保険関係の差益が増えたことになります。
保有契約の減少が続いているのに差益が増えるとは、
これまでとトレンドが変わったのでしょうか?
つまり、東日本大震災の支払見込額が5月時点から減ったため、
「戻り益」が発生したのですね。具体的には、
日本 426億円 → 335億円
第一 305億円 → 163億円
住友 273億円 → 170億円
MY 295億円 → 174億円
ということで、この差額(4社計で457億円)が
基礎利益の押し上げ要因になったというわけです
(ただし、全額が押し上げ要因となるのかどうかは不明)。
問題は通常の公表資料だけではこれらのデータがとれない
ということです。
東日本大震災の支払見込額や公表逆ざや額は
「決算記者会見資料」に載っています。
しかし、この資料をHPで公表しているのは、どういうわけか、
第一生命やT&Dホールディングスなど上場会社だけで、
第一を除く大手3社などはHPを探しても見当たりません。
第一生命の決算記者会見資料
今回はたまたま読売新聞が「25日わかった」という報道
(正確には「25日に気がついた」だと思うのですが^^)
をしたので、データを入手できました。
しかし、決算記事では各社の支払見込額の報道はなく、
毎日や産経の記事を見て特殊要因の存在を知っても、
あるいは、T&Dの決算をみて「戻り益」に気づいても、
読売の記事が出るまでは確認のしようがありませんでした。
他社も記者会見資料をHPに掲載できないものでしょうか。
ちなみに大手損保は以前から決算記者会見資料を
HPで公表しています
(もっとも、すべて上場持株会社の子会社ですね)。