バーゼルⅢについて話を聞く機会がありました。
昨年11月のソウルG20サミットによる大筋合意と、
12月の自己資本規制案などの公表などで、
バーゼルⅢの全貌が明らかになりつつあります。
残る注目点はSIFIs(システム上重要な金融機関)
に関する議論あたりでしょうか。
改めて12月の規制案をみると、段階的導入とはいえ、
最終的に銀行が必要な資本水準は大幅に高まります。
しかも、金融危機の反省から「損失吸収力」が注目され、
Common Equity、つまり普通株と利益剰余金重視の
制度となります。
最終的に求められるCommon Equity比率は4.5%で、
これに何種類かの資本バッファーが加わる見込みです。
さらに、総資産と自己資本を比べただけの
「レバレッジ比率」や、新たな流動性基準などもあります。
こうなってくると、銀行は普通株による調達に走る、
毎期の利益をためこむ、リスクアセットを圧縮する、
といった行動に向かわざるをえないでしょう
(あくまで一般論ですが)。
気になるのは、厳しい規制でリターンを上げにくくなった
銀行の普通株を誰が買うのか、という点です。
投資家は規制に協力するために株式を買うのではなく、
投資先の価値が高まると期待して購入するはずですよね。
銀行はどのようなビジネスモデルで株主の期待に
応えるのでしょうか。
また、これだけ資本規制・流動性規制が強化されると
「3本柱アプローチ」はどうなってしまったのかという
疑問も出てきますよね(形は残っているとしても)。
特に第2の柱については、機能しなかったと総括するのは
ちょっと早すぎるのではないでしょうか。