週刊ダイヤモンドの保険特集

ランキング以外も充実

今年の保険特集は例年よりもやや遅いタイミングでの刊行でしたが、例年にも増して力作だったという印象です。
プロローグの節税保険では、短期払いスキームというタイムリーな話題のほか、過去の経緯も紹介しています。外貨建て保険の記事にも「保険会社シェア」「銀行が受け取る商品カテゴリー別手数料額」があり、代理店の記事には損保代理店の図解や新手数料体系の分析があるといった、ファクトに基づいた情報を提供しようという姿勢に好感を持ちました
(もちろんデータが正しいという前提で)。

それにしても、これだけの特集なのにスタッフの名前がわずか2人しか出ていないというのも驚きでした。怪奇現象が起きるのもわかります(編集後記を参照)。

緩和型コラムも健在

実のところ個人的に保険特集で最も楽しみにしている記事は、「掲載基準緩和型コラム」という小ネタだったりします
(すみません、本文も読んでいますよ^^)。

今回は畑中元金融庁長官の話とか、地面師グループに元セールスレディ、ADIとトヨタの関係といった、「だからどうなの」という話ではあるのですが、楽しく拝読しました。おそらく骨太の本文があるからこそ、こうした小ネタが生きるのでしょう。
拡大版のコラム「代理店周辺のうわさ話」も関係者にはウケたのではないでしょうか。こうしたメーカー(保険会社)と乗合代理店の関係は将来的にどうなっていくのでしょうね。

見かけと実態のギャップ

自分の原稿についても多少触れておきましょう。
「最高益は見せ掛けにすぎない 生保経営の真実に迫る」というもので、以前のブログでご紹介したように、決算発表報道で示される「保険料等収入」と「基礎利益」では、マイナス金利政策の副作用に苦悩する生保経営の本当の姿は見えてこないという内容です。

少しだけ裏話をしますと、元の原稿のタイトル案は「最高益は見かけにすぎない」だったものが、編集の過程で「最高益は見せ掛けにすぎない」となっていたのに、ボーっとしていてそのまま返してしまい、今になって多少反省しています。「見かけ」と「見せ掛け」ではニュアンスが違いますよね。
本文を読めばわかりますが、保険会社が決算をお化粧しているという趣旨ではありません。

経営者は表面的な会計数値を重視するのでしょうか。
例えば、5月24日に開かれたMS&ADのIR説明会の質疑応答要旨に次のコメントが出ています。

「株主の皆さまへの還元の原資がグループ修正利益であり、基本的に重視する指標は、グループ修正利益です。一方で、マスメディアでの報道等でとりあげられるのは財務会計利益であることもあり、また、財務会計上の利益を重視する投資家もおられることから、マネジメントとしては財務会計利益も重視しています」

異常危険準備金の取り崩しによって高水準となった会計利益が経営実態の手掛かりになるとは考えにくいのですが、「マスメディアに取り上げられるから」という(おそらく)経営トップのコメントをどう受け止めたらいいのでしょうか。
これはメディアに変わってもらうしかないのかもしれません。

※2月の金沢駅の写真もアップ。

※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

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