生命保険会社の営業職員組織というと、大量採用・大量脱落のターンオーバー問題が決まり文句のようになっています。
大手生保の数字を確認してみると、確かに2000年代前半は期初の在籍数の3、4割にあたる職員を採用しているにもかかわらず、在籍数が減る(つまり採用を上回る退職が発生している)状態でした。
ところが最近は、在籍数の2割弱にあたる職員を採用し、在籍数は増加に転じているので、退職率は15%程度です。約4割から約15%へというのはかなりの変化です
(日本生命はディスクロージャー誌が未公表なので、2018年度まで確認)。
2005年に発覚した保険金不払い問題を経て、各社は新契約に過度に偏重した営業活動を改め、顧客訪問活動など既契約を重視する営業活動に舵を切りました。新人についても、採用後の教育を重視し、固定給を増やすなど、早期退職を減らす取り組みを行い、ターンオーバーの改善に効果を上げたと考えられます。
あとはこれが持続可能かどうかです。新契約の大半を既契約者やその周辺から獲得しているので、既契約者の高齢化とともに事業基盤が先細りしますし、毎年5千人から1万人という採用数は、高いコンサルティング力を武器にするための採用ではないでしょう。ここからがチャネル改革の本番なのかもしれません。
※かつて近所を走っていた市内電車の痕跡を見つけました。