新ソルベンシー規制の暫定決定

野党がそろって物価高対策として消費減税・廃止を主張していますね。与党は防衛費を増やすとしていますが、その財源は不明です。
コロナで財政をガンガン出し、国債発行残高が急増した直後なのに、さらに財政を確実に悪化させる公約ばかり。持続可能な政府運営には見えないです。特に「利払費と金利の推移」の図表を見てしまうと、ぞっとします。
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さて、金融庁が6月30日に、経済価値ベースのソルベンシー規制等に関する暫定決定について公表しました。暫定決定の中心は第1の柱の「標準モデル」と「ESRに関する検証の枠組み」で、ESRに基づく監督措置や第2の柱、第3の柱については主な論点と方向性のみ示してあります。

スケジュールに関しては「現時点においては2025年に新規制を導入することを前提として、引き続き着実な準備・検討を進めていくこととする」とのことで、年2回の報告を求めることも決まりました。初回は2026年3月末のものです(報告期限は未決定)。

技術的な話で恐縮ですが、標準モデルはICSとほぼ同じかと思ったら、保険負債の計算でいろいろと議論になっていたMOCEの計測方法が資本コスト法と決まりました。他方で、相互会社の基金については、国内独自の要件緩和はありませんでした。これらはおそらく当局と業界で相当な議論があったのでしょう。

監督措置のところで驚いたのが、「新規制においても、最も強い監督行動の発動にあたって、ESRの水準だけでなく、実質資産負債差額の状況も考慮する体系を採用するかどうかは、重要な論点となる」というくだりでしょうか。金融庁が進めている今回の健全性政策では、第1の柱として経済価値ベースの評価を導入し、かつ、画一的な規制にならないように3つの柱の考えを採用して保険会社の主体的なリスク管理高度化等を促すのですよね。そのどちらにも妨げとなる実質資産負債差額を残すという選択肢はありえないはずです。

※3年ぶりの夏祭り!

※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

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