最新の金融システムレポート

日本銀行が21日に公表した「金融システムレポート」に、ウクライナ情勢が日本の金融システムに及ぼす影響というBOX(巻末のコラム)がありました。
本邦金融機関のロシア向け与信残高は71億ドルと限定的(トップ3はフランス、イタリア、オーストリア)で、ドルを中心とした外貨資金繰りに特段の問題はみられず、ロシア関連の債券・株式の保有も少ないことから、現時点では影響は限られているという結論でした。
もちろん、先行きには大きな不確実性があるとも述べていて、サイバー攻撃の増加にも注意が必要とのことでした。

レポートの本編で今回私が気になったのは、地域金融機関が投資信託の残高を引き続き積み増していることと(本編19ページ)、今さらではありますが、上場銀行のPBRが0.5倍を下回る水準で低迷していること(同70ページ)、つまり、株式市場からの評価が極端に低いことの2つでした。

投資信託のうち、増加が目立つのは「マルチアセット」だそうです。レポートによると「保有投資信託のうち5割程度が、海外金利系投資信託と海外金利を主たるリスクファクターとするマルチアセット型投資信託となっている」「(マルチアセット型は)リスク量の変動を適時に把握することが難しいほか、市場の変動が大きいストレス局面では、必ずしもリスク分散の効果が十分に発揮されなかった事例もみられている」とのことで、「利息配当金の増収を企図して」という発想だとしたら、ちょっと心配ですね。

金融システムレポートには「ハイライト」や「概要」もあり、本編の全体像を知りたい方はこちらが便利です。金融分野の勉強をしている学生の皆さんにも、このレポートは(簡単ではないけど)おすすめです。

※藤の花がきれいでした。

※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

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