大手損保の4-9月期決算から

上場保険会社の決算が出そろいました。これから開催される決算説明会の情報なども参考に、いろいろと分析しようと思います。
今回は3メガ損保の状況を少しだけご紹介しましょう
(今回はと書いてしまいましたが、次回があるかどうかは未定です)。

最初に確認したのは自動車保険のEI損害率です。1年前のEI損害率と比べてみます。

TMN 62.7% ⇒ 68.5%(+5.8p)
MSI 63.9% ⇒ 70.0%(+6.1p)
ADI 63.2% ⇒ 71.1%(+7.9p)
SJ  61.9% ⇒ 68.6%(+6.6p)

上昇分のうち1、2ポイントは自然災害の影響(今年もひょう災がありました)とはいえ、自動車保険の収支が急速に悪化していることがわかります。EIベースのコンバインドレシオ(事業費率は会計ベースで計算)が100%を下回ったのはTMNだけで、他の3社は100%を上回りました。

4-9月期は経済価値ベースの純資産が大きく増えたのも特徴かもしれません。各社が独自に計測・公表しているESR(経済価値ベースのソルベンシー比率・呼称は様々)の分子にあたる純資産を、2023/3末と2023/9末で比べてみます。単位は兆円です。

TM  4.3 ⇒ 4.9(+0.6)
MS&AD 5.4 ⇒ 6.1(+0.7)
SOMPO 3.4 ⇒ 3.9(+0.5)

上半期の利益が貢献したのに加え、国内株式の時価上昇と円安の影響が大きかった模様です
(日経平均株価も円ドル相場も1割以上の変動でした)。

他方でBM事件やカルテル問題の影響は、一部の会社で月次の営業業績(自動車と自賠責)に多少表れているように見えるものの、行政処分が出されたわけでもありませんし、少なくともこれまでのところ、特定の保険会社の業績が極端に悪化するようなことにはなっていないようです。

※写真は先日訪問した大津です。

※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

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