27日の日経に小平龍四郎編集委員による
「『リスクオフ』規制が助長?」という記事がありました。
これまで株式の比率を下げてきた生命保険会社が
規制強化で「リスクオフ」を続ける、というものです。
この記事のなかに、
「支払い余力規制が強くなりすぎると、株式投資などを通じて
経済に成長資金を供給してきた生保の役割が変わってしまう
--国際決済銀行(BIS)はそう警告している」
という記述があったので、元のレポートを探してみました。
記事に出所が書いていないので特定できないのですが、
おそらく7月の「保険会社と年金基金の債券投資戦略」
というレポートではないかと思います。
BISのHP
確かにレポートには、
「伝統的に長期投資家である生保や年金基金が、
新たな会計や規制により、その役割を果たすのが難しくなっている」
とあります。しかしよく読むと、
「彼らが債券市場において果たしてきた長期投資家としての役割に
影響を与えかねない大きな課題に直面している」
とあり、そもそも株式市場についてコメントしているのではなく、
「ソルベンシー規制の強化 → 生保が株式売却」という議論を
展開しているわけではありません。
しかも、同じレポートのなかで、
・ソルベンシーⅡの資本コストをカバーするための収益目標は、
生保のような長期投資家にとっては達成が容易
・そのうえ分散効果が実質的な株式へのリスクチャージを
半分程度に減らす可能性がある
・したがって、EUソルベンシーⅡの導入後も、株式は引き続き
投資可能な資産クラスであり続ける
と結論付けています。
ということで、少なくともこのレポートを引用して
「BISが規制強化による株式市場への影響を警告」
というのはおかしい話ですね。
ただ、私の知らない別の「警告」があるのかもしれませんので、
ご存じのかたはぜひ教えていただけませんでしょうか。
※写真は横浜の歴史的建築物です。