契約者保護機構の国際会議

台北で保険契約者保護機構の国際会議に参加し、日本のソルベンシー規制についてスピーチをしてきました。

保険契約者のためのセーフティネットは国によって組織形態も保護スキームも異なりますが、2013年に国際組織(IFIGS)が結成され、毎年どこかで情報交流が行われています。
メンバーはご覧のとおりで、日本は今のところ加入していません。
IFIGSでは台湾の保険安定基金(TIGF)が積極的な役割を果たしているようで、今回の2019 IFIGS Asian Conferenceも数年前に続き、台北で開かれました。

今回のテーマは「平時の保護機構」ということで、保険会社の再建・破綻処理計画(RRP)と、破綻を防ぐための取り組みの2点について各国のスピーカーが発表し、議論が行われました。

私の役割は専ら後者で、日本のORSAについて、「形式的な対応に陥りがち」という声が出ていることを紹介したところ、「ドイツではソルベンシーIIの情報開示負担が重くて困っている」というコメントがあったほか、懇親会などでも「ORSAはコンプライアンスとして受け止めている」という声を耳にしました。

特にアジアの保険会社では、経営陣は「リスク管理は重要」と言うのだけれど、それが当局主導で進めるERMやORSAとは必ずしも結びついておらず、コンプライアンスと化してしまい、リスク管理部門はその対応に追われるという実態があるようです。
「上層部の意識を変えるにはどうしたらいいか」という声も耳にしました。

あと、破綻を防ぐための取り組みとして、カナダの損保保護機構(PACICC)から、「過去の破綻事例を研究し、そのレポートを公表している」という紹介がありました。
カナダ損保の事例だけでなく、昨年は規模の大きい事例としてオーストラリアのHIH社の事例を研究したそうです。後日読んでみようと思います。

カナダの場合、外資系保険会社が多いので、経営危機に陥る要因として「親会社の破綻による影響」が重要なのだとか。確かに日本でも、損保は規模の小さい外国損害保険会社(支店形態)がそこそこありますね。

※最後の写真はお昼のお弁当です。

※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

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