先週は台北で開催された保険会社のセーフティネット
(日本では保険契約者保護機構)の国際組織が主催する
会議に出席し、スピーチを行いました。
IFIGSのサイトへ
会議の前半は保険会社の経営破綻がテーマでした。
私は、過去の日本の生保破綻の経験を伝えるとともに、
超低金利下における生保の経営戦略(資産運用と商品)
を説明しました。
他にもオーストラリア当局のかたが、2001年に破綻した
HIH社の話をしたり、地元台湾の保険安定基金からも
相次ぐ保険会社の経営破綻について紹介があったりと、
興味深い内容が多かったです。
特に台湾では、2009年に生損保2社、2014年に生保2社の
経営が行き詰まり、この1月にも生保が1社破綻しています。
台湾でも歴史的な低金利が続くなかで、ALMを重視せず、
高い利回りを求めてリスクの高い資産運用に走った結果、
うまくいかずに資本不足に陥るケースが多いようです。
そして、背景にはコーポレートガバナンスの問題が
存在するという指摘がありました。
台湾生保が低金利で苦しんでおり、外貨建資産へ傾斜
していると過去にブログで書いたことがあります。
外貨建資産が増加(台湾)
当時に比べ、外貨建負債の割合が増えている会社も
あるようですが、外貨建資産への傾斜は一段と進み、
株式や不動産の割合も日本より高いようです
(長期債市場が未発達という事情もあります)。
また、当局から過去に資本不足を指摘された会社が
その後もなかなか資本増強できていないという話も
聞きました。
ですので、台湾の皆さんから個人的に話を聞くと、
1月の生保破綻が最後とは誰も考えていないようで、
日本の1990年代後半を彷彿させます。
なお、会議の後半は保険会社の破綻処理と
セーフティネットの役割がテーマでした。
・破綻処理をいかにスムースに行うか
(日本からもPGF生命の根立さんが登壇)
・破綻会社の契約者をどこまで保護すべきか
(例えば台湾では契約者負担を求めていません)
・保険会社と銀行のセーフティネットの運営主体は
共通のところがいいか、別々のほうがいいか
などが主な論点に上がっていて、こちらも興味深い
内容ばかりでした。
※休憩時間にはいつもお菓子や果物が並んでいました。