各社のディスクロ誌とともに保険会社の経営分析
には欠かせない「インシュアランス統計号」に
「払込方法別収入保険料」という統計があります。
会社ごとに「初年度保険料」「次年度以降保険料」が
掲載されているだけではなく、初年度保険料の内訳
(一時払、年払、月払など)もわかります。
例えば、2014年度の初年度保険料(個人保険)のうち
年払のトップ3は、日本、エヌエヌ、あんしんでした。
「年払 ≒ 経営者保険」という傾向がありますので、
この顔ぶれには納得です。
全社合計データはこんな感じ(2014年度)
保険料収入(個人保険) 24.5兆円
うち 初年度保険料 8.8兆円
次年度以降保険料 15.7兆円
初年度保険料のうち
一時払 6.5兆円
年払 0.6兆円
月払 1.6兆円
<参考>
保有契約年換算保険料 18.6兆円
(個人保険)
新契約年換算保険料(同) 2.2兆円
つまり、
・保険料収入の6割以上は既契約からの収入
(ただし、一時払の収入で大きく変動)
・初年度保険料の7割以上が一時払の収入
なのですね。
一時払の影響が大きいことが一目瞭然です。
しかも、一時払の収入は毎年大きく変動します。
メディアが保険料収入で「首位奪回」と報じるのは
いったい何を伝えているつもりなのでしょうか。
年始の各紙トップインタビュー記事をみると、
メディアは相変わらず保険料収入を重視していて、
日本生命の筒井社長から、
「トップラインはきわめて重要だ」
「ナンバーワンにこだわる姿勢は堅持したい」
といった話を引き出しています。
しかし、日本生命の中期経営計画をよく見ると、
国内シェアNo.1は「件数・保障額・年換算保険料」
となっていて、単純な保険料収入ではありません。
他の数量目標も、「保有契約年換算保険料の伸び率」
「お客様数」「グループ事業純利益」などとなっていて、
少なくとも公表されているものに「保険料収入」はありません。
※写真はお茶の水です。