inswatchへの寄稿など

いくつかの媒体に執筆した記事が載りましたので、まとめてご紹介しましょう。
まずは直近のinswatch Vol.923(2018.4.9)に執筆した記事をそのまま転載します。

金融庁と業界団体の意見交換会

中央官庁の情報開示姿勢が問題になっていますが、インターネットの普及とともに、かつてに比べれば官庁から公表される情報は格段に増え、かつ、入手しやすくなっているのは確かです。
昨年から公表されるようになった「業界団体との意見交換会において金融庁が提起した主な論点」をもとに、保険業界に対する金融庁の問題意識を探ってみましょう。

金融庁と業界団体との意見交換会とは

この意見交換会は金融庁幹部と業界団体(実質的には業界各社のトップ)が直接会って話をするというもので、10年ほど前から行われているようです。
大蔵省不祥事の後、官と民の交流を過度に避けるような風潮が広がってしまった反省から、このような会を開くようになったと理解しています。

論点の公表が始まった昨年1月以降、「生命保険協会」「日本損害保険協会」との意見交換会はそれぞれ6回ありました。ちなみに「主要行」は12回、「全国地方銀行協会(地銀協)」「第二地方銀行協会」はそれぞれ13回だったので、銀行がほぼ毎月開催だったのに対し、保険は2月に1回という頻度でした。
開催頻度と金融庁の問題意識の関係は定かではありませんが、参考までに「日本証券業協会」は9回開かれています。

主な論点

最近公表された2月の意見交換会の主な論点は次のとおりです(保険業界出席分のみ)。

・マネロン等に関するガイドラインの公表 ※銀行業界と共通
・ERMの取組み
・金融業界横断的なサイバーセキュリティ演習 ※証券業界と共通
・検査・監督の見直し
・スチュワードシップ責任 ※生保のみ
・販売時の分かりやすい情報提供等 ※生保のみ
・「遺伝」情報の取扱い ※生保のみ

このうち「ERM」では、一部の生損保で地政学リスクやパンデミックなど定性的なリスクを網羅的に把握する取り組みが遅れているという指摘がありました。

「販売時の分かりやすい情報提供等」では、生命保険商品は特に複雑で、顧客との情報の非対称性に関する課題が多いという問題意識を示したうえで、

「特に、投信と類似の貯蓄性保険商品については、『運用』という同様の機能を提供する金融商品である以上、各種のリスクや、費用を除いた後の実質的なリターンなどについて、投信と同じレベルの情報提供・説明が求められる」

と、顧客に分かりやすい情報提供の工夫を求めています。
(なお、昨年12月の意見交換会では損保や乗合代理店の話も出ています)

金融庁の改革

「監督・検査の見直し」では、「検査マニュアルに書いてあるルールよりも良いやり方があれば、それを試みやすい環境を作りたい」「社内での議論に際し、一つひとつの問題を経営全体の中で考えやすい環境を作りたい」「金融庁の側においても、金融行政の根本目的に立ち返って考えることができる力をつけるようにしたい」と、新しい時代の金融行政を感じる記述が並んでいました。
もっとも、「金融庁の組織を変えたり、検査マニュアルをなくしたり、といっても、検査官がいなくなるわけでも、検査がなくなるわけでも、監督が甘くなるわけでもない」という記述も見られます。ここ数年、かつてのような立入検査が少ないため、仮に現場の規律が緩んでしまっているとしたら、要注意でしょう。(転載終わり)

次に、先日ご紹介したAERAの記事がサイトで読めるようになったので、こちらも張り付けておきましょう。
台風、豪雨、地震…自然災害「大型化」のいま、損保は破綻しない? 専門家が解説
保険会社、どう選ぶ? 知っておきたい三つの「指標」

もう一つ、先週の週刊金融財政事情(2018.4.9)の書評「一人一冊」で、大門正克さんの「語る歴史、聞く歴史」を取り上げています。岩波新書です。「オーラル・ヒストリーの現場から」という副題がついています(こちらはご紹介のみ)。

※写真はドンラム(DUONG LAM)村というところで、伝統的な農村集落として知られています。ハノイから車で1時間ちょっとです。

※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

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