富士フイルムホールディングスのグループ会社
(子会社の富士ゼロックスの海外販売子会社)で
発覚した不正会計問題に関する第三者委員会の
報告書をざっと読んでみました。
富士フイルムホールディングスのサイトへ
報道されているような、売上達成のプレッシャー
(「もう一丁(1兆)やるぞ!!」という表現など)は
確かに重要な問題点なのかもしれませんが、
私は改めてグループ統治の難しさを感じました。
報告書では、富士ゼロックスによる海外子会社
管理の失敗と、子会社化した富士ゼロックスの
持株会社による管理失敗という、2つの意味で
グループ統治の失敗が示されています。
富士ゼロックスは1962年に富士写真フイルムと
英国ゼロックスの合弁会社としてスタートし、
その後、2001年に富士フイルムが出資比率を
75%に引き上げ、子会社化しました。
それから15年以上たっても、富士ゼロックスの
独立性は強く、例えば、グループの承認規程が
富士ゼロックスには適用されていなかったり、
持株会社が富士ゼロックスの重要な情報を
取得するのが困難だったりと、富士フイルム
グループのガバナンスには相当な問題が
あったことが報告書で示されています。
次のような記述も見られます。
・富士ゼロックスからの人事提案がそのまま
受け入れられるような実態
・持株会社の監査部の役割は富士フイルムの
監査が中心で、富士ゼロックスの監査は
富士ゼロックスの監査部に任せていた
・スタッフレベルにおいて、技術部門以外の
人事交流はほとんど見られない
他方、報告書には富士ゼロックスについても、
「(不正会計の舞台となった海外子会社を)
買収してから既に25年以上が経過しているので
あるから、現地ビジネスへの悪影響を抑えつつ
富士ゼロックスによる子会社管理を実効あらし
めるような、何らかの施策が実施されていても
良い時期に来ていたとはいえるであろう」
と、富士ゼロックスによる海外販売子会社の
管理体制や事業体制の不備も本件における
大きな原因の一つと指摘しています。
海外保険会社の買収により、急速に事業や
地域の多角化を進めつつある保険業界にも、
本件は大変参考になりそうです。
※写真は横浜・みなとみらい地区です。
雨が降り出す直前でした。