福井地裁の交通事故判決が話題となりました。
「もらい事故で損害賠償義務?」ということで
判決を疑問視する声が多かったようですが、
公表された判決文や原告代理人の説明を見ると、
判決がおかしいと言い切るのも難しそうです。
センターラインを越えて走ってきた車の任意保険は
家族限定だったのに、家族以外の人が運転していたとか。
これは気を付けたいですね。
ところで、福井地裁判決とは直接の関係はないのですが、
リスク管理の世界では、「経済情勢や保険事故の発生率等が
保険料設定時の予測に反して変動することにより、保険会社が
損失を被るリスク」を「保険引受リスク」としています
(上記定義は金融庁の保険検査マニュアルを引用)。
そして保険会社では、何らかの手法を用いることで
この保険引受リスクを定量評価するのが一般的です。
また、健全性指標であるソルベンシー・マージン基準では、
当年度保険料×リスク係数、または、平均保険金×リスク係数
のいずれか大きい額を一般保険リスク相当額としています。
こうして計算した数値をリスク管理部門がモニタリングすれば
保険引受リスクを管理したことになるのでしょうか。
例えば、交通事故の発生率が予測に反して変動する要因は、
景気の変動もあるでしょうし、ドライバーの年齢構成の変化、
交通法規の変化、異常気象の発生、保険会社の引受姿勢など
いろいろ考えられます。
これらのなかには営業・SCの現場でなければ
なかなか変化の兆しに気が付かないものもあるでしょう。
「リスクはリスク管理部門が管理するもの」という考えが
間違いであることがわかります。
※写真は小田急ロマンスカーです。