生保の中間決算(上半期報告)が発表されています(28日)。
大手で注目は明治安田生命でしょうか。
株式評価損に目が行きがちですが、米国RMBSの増加、
「その他有価証券」から責任準備金対応債券へのシフトなど、
いろいろと動きがみられました。
とはいえ、まだ全体を見ていないので、
週末にでももう少しコメントしようと思います。
ところで、最近、アジア各国の保険関係者に対し、
日本の保険市場や保険行政の動向について
話をする機会が何回かありました。
私が先月まで保険行政でソルベンシー規制の検討や
ERMの推進にわっていたこともあり、これらに関連する質問が
多かったのですが、それでも質疑応答を通じ、
彼らの関心事項が浮かんできました。
最もよく聞かれた質問は、低金利に関するものです。
「歴史的低金利が続く日本で、生保はどうやって経営しているのか」
「長期にわたる低金利が保険市場にどのような影響を与えているか」
「低金利で生保経営が厳しくなるなかで、行政は何か支援をしたのか」
などなど。
いまや欧米だけではなく、アジア各国でも金利水準が低下し、
保険会社の経営が厳しくなっていることが伺えます。
もうひとつ、興味深いというか、回答が難しい質問として、
「財務の健全性と消費者保護のいずれに軸足が置かれているのか」
というものがありました。
保井俊之さんの著書「保険金不払い問題と日本の保険行政」では
日本の保険行政について、
・戦前、戦中、高度成長期と続いたコントロール(統制)指向の行政
・1999年からのコンティンジェンシー(危機管理)指向の行政
・2005年からのコンプライアンス(法令遵守)指向の行政
・2008年からのコンバージェンス(目標集束)指向の行政
という整理がなされており、実感できるところです。
しかし、財務の健全性か消費者保護かと二択で問われると、
「どちらも重視している」としか答えようがありません。
いろいろと説明しましたが、納得してもらえたかどうか。
日本では中堅生損保の相次ぐ破綻(=契約者負担あり)を経て、
かつ、銀行預金のペイオフも解禁されています。
これに対し、アジア各国の保険市場では、
多くがコントロール指向の強い行政の下にあるため、
契約者保護と言うと財務の健全性確保ではなく、
消費者目線の政策のことがイメージされるようです。
※写真は築地市場で活躍する運搬車「ターレー」です。
大きなハンドルの後ろに立って運転します。