日本の不良債権問題は1990年以降のバブル崩壊で顕在化し、
解決には2000年代半ばまでかかりました。
特に1997年以降は信用収縮の傾向が顕著となりましたが、
大手銀行への二回の資本注入や企業向け支援策などもあり、
ようやく危機を脱することができました。
他方、米国発の金融危機は、米住宅バブルの崩壊に端を発し、
証券化商品等を通じて大手投資銀行を経営危機に追い込み、
世界的な危機に発展しました。
米国政府(TARP)による大手銀行等への資本注入もありましたが、
FRBによる住宅ローン担保証券の購入も大きかったように思います。
日米ともに大手銀行等への資本注入だけではだめで、
例えば不良資産の買い取りや企業向け支援など、
金融機関のバランスシートの両側に対する対策が必要でした。
今回の欧州債務危機を日米不良資産問題になぞらえると、
先週のEU首脳会議や銀行の資本不足額公表等を見るかぎり、
「資本注入」も「不良資産買い取り」もこれからということなので、
解決にはまだまだ時間がかかると見るべきなのでしょうね。
※左は慶大日吉キャンパス、右は横浜・日本大通りです。