シニア向け医療保障が好調?
土曜日の日経に「マネーのまなび」というページがあり、そのなかで「生命保険文化センターの調査では、医療保険や医療特約に加入する80歳以上の世帯は2021年に8割超と18年の6~7割程度から増加した」という記述と図表を見つけました
(記事のタイトルは「認知症、家族が保険手続き 事前登録で支払い請求も」)。
実態調査にこんな図表があったかなぁと思い、同センターのサイトを確認してみたところ、速報版には掲載がなく、確定版になってから掲載される図表でした。
図表を見ると、確かに70代や80代の医療保険・医療特約の世帯加入率が前回調査よりも大きく上がり、他の年代と遜色ない高水準となっています。この統計には振れがありそうだとはいえ、これだけの変化が生じたのは記事のとおり、シニア層が医療保障に新たに加入したためではないかと考えられます。
総じてシニア層には貯蓄があり、日額5000円の入院保障と最大10万円程度の手術保障を得るために、年間8万円とか10万円とかの保険料を支払う(しかも終身払い)ような保険に加入するのが合理的とは思えないのですが、ニーズがあるということなのでしょう
(先進医療給付金がアピールポイントなのでしょうか?)
死亡保険金額の減少
他方で、保障中核層の死亡保障の充足状況はどうなっているのでしょうか。結論を先に言うと、実態調査を眺めただけではよくわかりませんでした。
30代や40代が世帯主である世帯の普通死亡保険金額(民保ベース)は年々小さくなっています。下記のように、15年前の2006年調査と比べると、2021年は当時の約7割の水準です。世帯主だけだと保険金額は2000万円前後まで小さくなります。
30代前半 3221 ⇒ 2273
30代後半 3782 ⇒ 2589
40代前半 4164 ⇒ 2516
40代後半 3991 ⇒ 2837
(単位は万円)
世帯年収別の図表では、死亡保険金額が年収が高くなるほど大きくなっているので、家計に余裕がなく、必要な保障を得られていない30代や40代世帯が増えているのかもしれません。
ただし、保険会社(特に伝統系)の商品戦略の影響で、この統計に反映されないと思われる、生前給付保障など死亡保障の代替となる保険に切り替わっている可能性もあります。
ちなみに、加入保障内容の充足感をたずねた図表では、「十分」「ほぼ十分」という回答が調査のたびに増え、今回初めて5割を超えました(「不十分」「やや不十分」という回答は30%台で安定しています)。
皆さん、本当に十分と言えるほどの保障を確保しているのでしょうか?
※キャナルシティ博多でミニライブをやっていました。