地域金融機関の経営統合

2月7日に金融庁は地域金融機関の経営とガバナンスの向上に資する主要論点(コア・イシュー)を公表しました(3月9日までパブコメ受付中)。

「あくまで経営トップや取締役会等が自らの経営やガバナンスの現状を振り返るに当たって、参考として活用されることを目的とするもの」
「金融庁のモニタリングにおいて、本文書を一つの解を前提にチェックリストとして用いるものではなく、いわゆる『コンプライ・オア・エクスプレイン』を求めるものではない」

と明記されていますが、これまでの地域金融機関の動きの鈍さや危機意識の低さに金融庁は業を煮やしているのでしょう。

ところでクイズです。次の銀行持株会社の傘下にある銀行はどこでしょうか?

1.じもとホールディングス
2.めぶきフィナンシャルグループ
3.三十三フィナンシャルグループ
4.西日本フィナンシャルホールディングス
5.九州フィナンシャルグループ

すべて答えられたら、かなりの地銀通ですね♪

金融庁の遠藤長官は昨年末の共同通信のインタビューで、「地方銀行が地域の企業や経済を支える存在であり続けるための手段として有効ならば、他行との経営統合や合併、資本業務提携を進めるべきだ」と述べたそうです。ただし長官は、「金融庁が促しているのは健全性の確保であって再編ではない。統合や合併はそれぞれの経営判断だ」とも語っています。
合併してもビジネスモデルが変わらなければ時間稼ぎにしかなりませんし、持株会社方式の経営統合の場合は、時間稼ぎにもならないかもしれません。

週刊金融財政事情の2月10日号のコラム「支店長室のウラオモテ」にこんなコメントが載っていました。

「本部機能の一部を統合したところで、審査や人事機能が各行ごとのままであれば、行員の行動様式はまったく変わらない」
「(システムの一本化について)それぞれのシステム部門がベンダーの後ろ盾を得て優位性を主張しており、今後も全く話が進みそうにない。そうこうしているうちに、銀行の稼ぐ力は大幅に落ちてしまった。メンツ争いをしている時間的余裕はもうないはず」

金融庁が過剰介入の批判を覚悟して(?)地域金融機関の経営に関わろうとする気持ちもわかります。

<地銀を中核とした銀行持株会社>
・フィデアホールディングス(荘内銀行、北都銀行)
・じもとホールディングス(きらやか銀行:山形しあわせ銀行と殖産銀行が合併、仙台銀行)
・第四北越フィナンシャルグループ(第四銀行、北越銀行)
・めぶきフィナンシャルグループ(常陽銀行、足利銀行) 
・東京きらぼしフィナンシャルグループ(きらぼし銀行:東京都民銀行、八千代銀行、新銀行東京が合併)
・コンコルディア・フィナンシャルグループ(横浜銀行、東日本銀行)
・三十三フィナンシャルグループ(三重銀行、第三銀行)
・ほくほくフィナンシャルグループ(北陸銀行、北海道銀行)
・池田泉州ホールディングス(池田泉州銀行:池田銀行と泉州銀行が合併)
・関西みらいフィナンシャルグループ(関西みらい銀行:関西アーバン銀行と近畿大阪銀行が合併、みなと銀行)
・山口フィナンシャルグループ(山口銀行、もみじ銀行、北九州銀行)
・トモニホールディングス(香川銀行、徳島大正銀行:徳島銀行と大正銀行が合併)
・ふくおかフィナンシャルグループ(福岡銀行、熊本銀行、親和銀行、十八銀行)
・西日本フィナンシャルホールディングス(西日本シティ銀行:西日本銀行と福岡シティ銀行が合併、長崎銀行)
・九州フィナンシャルグループ(肥後銀行、鹿児島銀行)

※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

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