3/31日の日経・マーケット総合面(17面)の「大機小機」に
「時価会計見直しは正しい選択」というコラムが載りました。
主な内容は次のようなものです。
・もともと時価会計は有価証券などでの資金調達が多い欧米企業の
経営実態の把握に適した会計方法だった。
・日本的経営の特徴とされる長期的視野に立った経営行動は、
取得原価主義に基づく会計基準に支えられている。
資本市場が小さい国々で時価会計を強要すれば、経営に大きなブレが生じる。
・会計基準は経済の安定的成長を促すインフラであり、
それ自体が変動を生むような制度は修正していくべきである。
これを読んで私はものすごく違和感を感じました。
確かに今私たちは「何をもって時価とするか」という課題に直面しています。
これはなかなか難しい課題です。
しかし、日本が時価会計を採用したのは「国際的な流れ」だけではなく、
取得原価主義会計では経営実態の把握ができなかったためですよね。
だから、時価会計がうまく機能していないからといって、
取得原価に戻ればうまくいくとは到底考えられません。
過去に日本が取得原価会計のもとで大きな成長を遂げたのは、
日本経済そのものが成長期にあったからでしょう。
仮に時価会計だったとしても、やはり大きな成長を遂げたと思います。
しかし、低成長期には経営実態の把握がより重要になります。
経営者は株主や従業員を満足させるためにいるのですから、
監視の目が厳しくなって当然です。
コラムでは「会計基準は長期的に一定のルールに従ったものでありさえすれば、
情報開示において何の問題も生じない」とありますが、
あまりに経営者目線だと感じました。