
主要生保の4-9月期決算が出そろいましたので、前回の続きとして、公表資料から営業職員チャネルの販売動向を確認してみましょう。
日本生命、住友生命、明治安田生命はチャネル別の新契約年換算保険料や保険料収入などを「説明資料」のなかで開示しています(日本生命はグループベースなので大樹生命の営業職員を含む)。第一生命はグループのなかでチャネル別に会社を分けているので、第一生命の数値を営業職員チャネルのものとみなすことにしましょう。
各社の営業職員チャネルによる新契約年換算保険料(ANP)は以下の通りでした(カッコ内は前年同期比)。
日本 1042億円(+ 8.8%)
第一 530億円(▲ 5.4%)
住友 332億円(+22.1%)
MY 727億円(+68.4%)
他方で各社は「保障性商品」の新契約ANPも開示しています(日本生命は「主要保障性商品」、住友生命と明治安田生命は「保障性商品」として開示。第一生命は非開示だが「一時払い終身商品は主戦場ではない」と社長が言明しているので個人保険の数値を掲載)。
日本 323億円(▲ 5.6%)
第一 299億円(+21.0%)
住友 144億円(+ 7.1%)
MY 153億円(▲ 9.1%)
参考までに、第三分野(生前給付保障、医療保障等)の新契約ANPは以下の通りでした。
日本 217億円(+ 2.1%)
第一 229億円(+21.2%)
住友 141億円(+ 2.5%)
MY 180億円(▲20.0%)
これらの数値および日経報道などを踏まえると、第一生命はやや傾向が違うようです(昨年度に個人年金の販売が急増した反動あり)が、総じて円建て貯蓄性商品の予定利率を引き上げた会社の新契約ANPが大きく増えたことと、保障性商品の販売は引き続き低調であることがうかがえます。同じく営業職員を中核チャネルとする朝日生命や富国生命でも、同様の傾向が見られるようです。
とすると、気になるのは次の2点です。1つは「円建て貯蓄性商品の販売による弊害はないか」です。金利上昇時の解約リスクについて、今の情報開示では手掛かりがほとんどなく、営業職員チャネルとはいえリスクを貯めこんでいないかどうか心配です。収益性も気になりますし、さらに言えば、保障性商品の販売につながるものなのか、あるいは、そもそも貯蓄性商品の提供に軸足を移すのか、といったチャネル戦略も気になります。
もう1つは、保障性商品の提供に軸足を置き続けるのであれば、前回のブログでもコメントしたように「今の採用数や採用方針を続けるのかどうか」です。
このような視点で今後も見ていきたいと思います。
※飯塚市の旧伊藤伝右衛門邸を訪問しました。
