マイクロ保険

10月28日から29日にかけて、日本保険学会の年次大会がありました。今年度は久しぶりに懇親会も開かれ、にぎやかな大会となりました。

初日のシンポジウムのテーマ「先端医療と保険」には、報告者として同僚の伊藤先生が登壇したにもかかわらず所用により私は参加できず(すみません)、2日目の共通論題「マイクロ保険の現状と課題」に参加しました。
マイクロ保険(マイクロインシュアランス)について私はあまり馴染みがなかったのですが、ニッセイ基礎研究所の片山さんの資料によると、2022年現在、加入者は34か国、2億人超で、導入する地域が増えているとのことでした。

報告を聞いて、私は次のような理解をしました。正しいかどうかは自信がありません…

・マイクロ保険も通常の保険もしくみは同じ
・マイクロ保険は低所得者・貧困層などを加入対象としており、通常の保険にはない存在意義を持つ
・加入対象の特性から小口かつ保険料滞納リスクなどがあり、さらに保険事業への理解も低いことから、極力コストを抑えつつ、加入者を引き付ける(引き留める)ための工夫がないと持続可能な事業になりにくい

事業者目線からすると、「採算ベースに乗りにくい保険事業が技術革新によって実現できるようになった」というのはわかります。
他方で「採算ベースに乗らない保険事業をあえて行う」というのはどう考えたらいいでしょうか。他の事業があって、社会貢献あるいは市場参入のためのコストとしてとらえればいいのでしょうか(株主など他のステークホルダーが許容する範囲において)。こちらを保険事業と言っていいのか、私には疑問です。

複数の先生が「アグリゲーター」と呼ばれる非保険業の事業体について触れていました。この事業体が関わるマイクロ保険と、無尽や頼母子講といった共同体の互助金融を比べた議論はありそうですね。

※写真は会場の京都産業大学です。

※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

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