2月21日の日経新聞「生保、損失覚悟の外債売却(有料会員限定)」で報じられていたように、昨年10-12月期に大手生保による外国公社債の売却が行われたことが決算データからも確認できました。ただし、細かく見ると大手5社(日本、第一、住友、明治安田、かんぽ)の動きは必ずしも一様ではなかったようです。
まず、外国公社債の残高が減少に転じた時期は、第一生命が2020年10-12月期あたりからだったのに対し、日本生命は昨年4-6月期から、住友生命とかんぽ生命は7-9月期から、明治安田生命は今回初めてと、会社によって違いがあります。
明治安田生命は銀行窓販チャネルによる外貨建一時払保険の販売増加が影響している面もありそうです。同社は四半期ごとに期末のヘッジポジションを公表していて、今年度に入ってからヘッジポジションが減り続けています(解約返戻金も高水準で推移しています)。
そして、10-12月期に各社とも外国公社債の残高を大きく減らしたものの、日本生命と住友生命、かんぽ生命の減少幅が7-9月期を大きく上回ったのに対し、第一生命は高水準とはいえ7-9月期ほどは残高が減っていません。第一生命HDのIR資料によると、為替ヘッジ付き外債の残高は今後も削減方向とのことで、5月にも確認してみましょう。
日本生命と住友生命もおそらく為替ヘッジ付き外債を売却したのだと思いますが、残念ながら12月期決算ではそこまでの開示がありません。
外国公社債を売却した資金はどこに向かったのでしょうか。全般としては責任準備金対応債券区分の国内公社債を増やしているように見えます。もっとも、このところ日本生命はその他有価証券区分の国内公社債の増加が目立ち、住友生命は10-12月期に限れば現預金が増えています。第一生命が10-12月期に20年超の国債を増やしたことはIR資料でわかるのですが、他社の金利リスクへの対応状況は5月の決算発表で確認できることを期待しています。
※写真は横浜・大倉山の梅林です。