1週間前の記事で恐縮です。12/18(土)の日経に、
「生保運用 国内株離れ」「5年で半減、国債シフト」
という記事が載っていました。
来年度からの資本規制強化を前に、生保各社が
運用資産内容を見直しているというのですが、
「国内株式の残高は規制強化の議論が始まる直前
(2005年度末)に比べ、ほぼ半減した」
とあります。読者は、
「そうか、生保はそんなに株式を売却したのか!」
と普通は思うでしょう
(ちなみに「売却した」とは書いてありません)。
ざっと調べてみたところ、事実は次の通りでした。
大手9社の国内株式残高(時価ベース)は確かに半減です。
2006/3末:26.8兆円 → 2010/9末:13.8兆円
ところが、簿価ベースではどうか。
2006/3末:13.1兆円 → 2010/9末:12.0兆円
(この間の株式等評価損の計上額は合計1.4兆円)
つまり、「5年で半減」の中身は圧倒的に時価下落によるもので、
売却はあまり進まなかったことになりますね
(ただし、この上半期は第一と明治安田の売却が目立ちました)。
なお、この記事には、
「一方で国債など公社債での運用比重が高まっており、
低金利下で運用益を原資とする契約者配当の維持が
難しさを増している」
「(債券シフトで)逆ざやを保険会社が穴埋めするリスクも高まりやすい」
といった記述もあり、このあたりも非常に疑問です。
株式から公社債にシフトすると、どうして配当維持が難しくなったり、
逆ざやを穴埋めするリスクが高まったりするのでしょうか。
過去20年間とは違い、株のほうが安全ということなのでしょうか。
記事にいちいち目くじらを立てても仕方がないとは思いつつ、
つい反応してしまいました。
※毎度のことですが、個人的なコメントということでお願いします。
※写真は横浜港シンボルタワーです。
横浜は港なんだなあと実感できる場所でした。