19日の保険毎日新聞に、システミックリスクに関する
ジュネーブ協会による調査結果が紹介されていました。
この調査は、ジュネーブ協会がシステミックリスクに関する
銀行と保険会社を比べたものです。
日本勢は日本生命、第一生命、東京海上が入っていました。
調査結果(PDFファイル)
ジュネーブ協会は世界の主要保険会社をメンバーとする
非営利のシンクタンクです。
世界の保険関係者が意見交換を行う場にもなっています。
ジュネーブ協会のHPへ
リーマンショックを受けて、銀行についてはG-SIBs
(グローバルにシステム上重要な銀行)が選定され、
自己資本の上乗せが求められることになりました。
保険会社についてもG-SIIs、すなわちグローバルにシステム上
重要な保険会社への規制が検討されています。
これに対し、「保険会社が破綻してもシステミックリスクを
もたらさない」というのが保険業界の主張です。
確かに今回のジュネーブ協会の調査結果を見ても、
保険会社がシステミックリスクを引き起こす可能性は
銀行に比べるとかなり小さいことがわかります
(Level3資産の割合は意外に大きいのですね)。
ただし、システミックリスクがないのかと言われると、
そのような主張が受け入れられるのは難しい情勢です。
例えば日本銀行の白川総裁は昨年のIAIS総会で、
「保険会社の経営不安や破綻は、貯蓄性保険商品の解約や
市場の心理的動揺などを通じて、金融システム全体の
不安定化につながる可能性は否定できません」
という講演を行っています。
金融審議会WGでも、
「伝統的なシステミック・リスクはなくとも、マーケット型の
システミック・リスクにより、連鎖的に金融市場の混乱を
もたらすことはありうる。特に、金融商品を大量に保有している
金融機関は、市場における金融資産の価格の変動を通じて、
市場において新しいシステミック・リスクを引き起こす可能性がある」
といった議論が行われているようです。