大手損保各社が公表した9月の営業速報によると、
火災保険の増収を主因に、各社とも前年同月に比べて、
2割前後の増収となりました。
10月から火災保険の保険料率が上がるとともに、
地球温暖化で長期のリスク評価が難しくなったため、
保険会社が10年超の契約を取り扱わなくなりました。
この影響から、9月に駆け込み需要が発生した模様です。
参考までに、各社の9月単月の火災保険の業績は
次のように約2倍の水準となっています。
東京海上 前年同期比 89%増
三井住友海上&あいおい 同 120%増
損保ジャパン日本興亜 同 108%増
もちろん消費者にとっては残念な話ではあるのですが、
自然災害が多発するにもかかわらず、30年を超える
長期の自然災害リスクを民間の会社が引き受けるのは、
そもそも難しいことなのだと思います。
地震保険の話もありました。
損害保険料率算出機構が地震保険の基準料率を
全国平均で5.1%引き上げると金融庁に届け出ています。
2017年1月からの実施予定です。
本来は19%引き上げるべきところを、急激な上昇を避け、
3段階に分けて引き上げることになりました。
この件で私は共同通信の取材を受け、いくつかの地方紙に
私のコメントが載ったようです。
保険アナリストの植村信保氏は、「加入率が低下する
事態になれば、大幅な制度変更が必要になる可能性
もある」と警告し、十分に消費者の理解を得た上で
保険料を引き上げるよう求めた。
十分に消費者の理解を得た上で保険料を引き上げる
ことを求めるようなコメントはしていないのですが、
確かに値上げ後の加入率の推移は気になるところです。
ただ、値上げによる地震保険離れを懸念するのであれば、
現行の家計向け地震保険は半官半民の制度とはいえ、
財源は全て加入者が負担していることを伝えたうえで、
このような制度でいいのかを問うべきなのでしょうね。
今の制度であれば、今回のように震源モデルを更新し、
以前考えていたよりも地震のリスクが高いと判断した場合、
あとは保険料を上げるか、給付水準を下げるかしかありません
(今回は前者だけではなく、後者も実施しています)。
※大連ではトラムが活躍していました。