国債利回りがマイナスになったことを受けて、
金融庁は標準利率の算出に関する係数や
ソルベンシーマージン比率のリスク相当額
(予定利率リスク)のリスク係数を整備するそうです。
金融庁のサイトへ
いずれも、これまで設定されていなかった
マイナスゾーンの係数を設けるというもので、
従来の枠組みを大きく変える案ではありません。
まあ、標準利率がマイナスになり得る点は
過去にない大きな変化なのかもしれません…
予定利率リスクのほうから取り上げると、
今回の案によれば、予定利率が0%以下の部分は
リスク係数が0なので、予定利率リスクが存在しない
ということになります。
とはいえ、経済価値ベースのソルベンシー規制を
検討しているなかで、このような対応となるのは
わからないでもありません。
他方、標準利率については、安全率の整備に
とどまらず、指標となる国債利回りについても
見直すという考えはなかったのでしょうか。
今のルールでは、指標となる国債利回りは
一部を除き、10年国債利回りです。
他方、大手生保の保有する公社債の7、8割は
10年超の超長期国債であって、10年国債を
ALMの中心に据えている会社はありません。
つまり、生保のALMと責任準備金のルールが
ズレてしまっているのですね。
こうなってくると、責任準備金が積み上がる商品を
今後も提供し続けるのかという話になってきます。
週刊ダイヤモンドでも書きましたが、
マイナス金利は生保の資産運用面だけではなく、
営業戦略への影響も大きいことがわかります。
※写真は台北郊外にある三峡の町並みです。
「牛角」というクロワッサン風のパンが名物だとか。