9日に保険の国際規制に関する発表があったので、
こちらにリンクしておきます → 金融庁のHPへ
保険には国際的な資本規制がなかったのですが、
現在、保険監督者国際機構(IAIS)を中心にして、
「グローバルにシステム上重要な保険会社(G-SII)」
および「国際的に活動する保険グループ(IAIG)」向けの
資本基準の策定が急ピッチで進んでいます。
今回の市中協議文書の発表は、G-SIIに適用する
基礎的資本要件(BCR)に関するものです。
この市中協議文書に対する意見を踏まえたうえで、
IAISと金融安定理事会(FSB)で内容を固め(9-10月)、
11月のG20で承認、というタイトなスケジュール。
このため、BCRは「保険金額×係数」「時価×係数」
といった非常にシンプルな計算方法となっているうえ、
重要なリスクカテゴリー(特に生保)である「ALM」は
対象外となってしまいました。
係数の水準感は、まだよくわかりません。
7-8月の調査結果を見てから決めるとのことです。
他方、BCRと対比する自己資本のなかで、
Margin Over Current Estimateと呼ばれる部分
(≒保険負債の含み益)をコア資本とするかは
まだ議論中のようで、こちらも今後に注目です。
⇒修正:「含み益」は言いすぎで、うちリスクマージン部分ですね
IAISの調査によると、G-SIIのコア資本の38%を
この部分が占めるそうなので、小さい話ではありません。
なお、以前自分のブログでも書きましたが、
「G-SII」と「IAIG」の2系統の話が同時に進んでおり、
流れがわかりにくくなっています。
5月に出たニッセイ基礎研・荻原さんのレポートが
参考になるかもしれません。
また、日本損害保険協会のHP(国際保険監督規制)も有益です。
※写真の左は現在の国分寺、右はかつての国分寺の跡地。
奈良時代には七重塔が建っていたそうです。