マイナス金利政策後の生保経営

2018年3月期の生保決算をざっと確認しました(まだ国内系だけです…)。
大方のメディアは相変わらず保険料収入と基礎利益にしか関心がなさそうなので、私は大規模金融緩和の副作用を探ってみようということで、マイナス金利政策が始まった2年前と比べてみました。

各社の経営リスクは総じて増える傾向にあるとうかがえる一方、基礎利益は増えていても、多くの会社が実行してきた「外部調達を含め、金利低下でダメージを受けた支払余力を高めつつ、内外金利と為替リスクを取る」という経営行動は必ずしも会社価値を増やすことにつながらなかった、というのが現時点での総括となりそうです。

2016年3月期と比べると、各種準備金の積み増し(国内系8社で約2兆円増)と外部調達(同1.2兆円増)を行う一方、この間、資産長期化を概ねストップし(例外あり)、外貨建資産を増やしています。
しかし、国内金利は低水準のままであり、対米ドルでは円高が進み(生保の外貨建資産は米ドル建てが多い)、海外金利の上昇も著しく、ヘッジコストも上がっているとなると、この期間にかぎればリスクテイクが裏目に出ているように見えます(株価上昇で相殺されていますが)。

当然ながらリスクをとれば必ずリターンが上がるものではなく、リスクテイクが裏目に出ることもあります。問題は外部ステークホルダーがこのような経営を期待しているのかどうか、あるいは、経営陣が考え方をきちんと説明しているかどうかだと思います。
この点で、上場会社はそれなりに説明しているのに対し、相互会社による考え方の説明は少ないですね。今後の情報開示に期待しましょう。

※出張でソウルに来ています。

※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

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