パネルディスカッション(続き)

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前回に続き、日本アクチュアリー会年次大会の
パネルディスカッションのお話。

4人のパネリストのうち、鳥居さん(ニューメディカルテクノロジーズ)の
プレゼンが最もインパクトが強かったのではないでしょうか。
公開されているスライドを見れば、おわかりいただけると思います。

ニューメリカルテクノロジーズのHPへ

例えば「情報の非対称性」のところでは、
「先んじて情報に接する個人」(=JPモルガンやゴールドマンといった、
並外れたカリスマ型トップを戴くワンマン経営に近い組織)だけが危機を回避し、
「遅れて情報に接する組織」は避けられなかったとのこと。

大半の「遅れて情報に接する組織」ができることはいったい何でしょうか。

もっとも、最後に会場から「アングラ的な裏情報に接していたから?」
という質問があり、鳥居さんからそれに近い回答があったわけですが、
これはちょっと話が違うように思いました。

というのも、プレゼンではJPモルガンのCEOが、
「CDSとCDOの市場動向から異常を察知し、ポジション縮小を判断した」
という話だったので、トップの判断力・行動力には脱帽ですが、
「裏情報に接することができたから危機を回避した」わけではないと思います。

ゴールドマンについても、他社が見落とすような市場の動きから
今回の危機を最小限にとどめたというエピソードを聞いたことがあります。
いずれも裏情報云々ではなく、情報をトップがどう使ったか、なのでしょう。

ストレステストの話もありました。
いま世間では、「VaRでは役に立たないから、ストレステスト、
特に仮想シナリオ方式のストレステストが重要」という流れになっています。

しかし、大半の人が「そりゃあり得ない」「本当に起こるの?」
と言われそうなシナリオ(=AAA債券が暴落する)判断がなければ
JPモルガンは今回の危機を避けられなかったわけです。

鳥居さんは思考実験として
「日本国債のクラウディングアウト」を取り上げていますが、
「行き着くところ経済ホラー小説との区別がつかない」
とコメントしています。

こういったことを頭の片隅に置いたうえで、それでも何らかのツールを使って
リスク管理をしていかなければならない、というのが結論なのでしょう。
皆さんの受け止め方はいろいろだと思いますが、すごいプレゼンでした。

※会場は経団連会館のホールでした。
 新しくなってから初めて行きましたが、きれいになりましたね。

※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

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