植村信保のブログ

保険アナリスト植村信保のブログ

2016年02月27日

マイナス金利と生保経営

 

東洋経済オンラインに生保関連の記事を寄稿しました。
テーマは「マイナス金利政策と生保経営」です。
東洋経済オンラインのサイトへ


報道では貯蓄性商品の値上げや販売停止ばかりが
取り上げられるので、つい執筆を引き受けてしまいました。

記事をご覧になればわかりますが、タイトルの
「マイナス金利でリスクテイクが困難に」とは、
次のような意味です。

マイナス金利政策に伴う金利水準の低下によって
生保が超長期の保障を提供する負担はより重くなりました
(提供できなくなったとは言っていませんので念のため)。

そのようななかで、生保が資産運用によるリスクテイクを
積極化させるとは私には思えないのですね。


報道によると、生命保険協会の筒井会長(日本生命社長)は、

「日本国債を中心とする運用はもはや困難」

「外債へのシフトがメーンにならざるを得ず、外債以外もさらに
 ポートフォリオの分散にこれまで以上にチャレンジしていかな
 ければならない」

と2月19日の記者会見でコメントしたそうですが、同時に、

「保険商品も資産運用も両面でもっと創意工夫をこらせということ」

とも述べており、日本生命が大胆なポートフォリオ・リバランスに
踏み切るという話ではないと受け止めました。

それに、どんどんリスクテイクできるような体力があるのだったら、
従来はどうしてそれを契約者等に還元せず、貯めこんでいたのか
(あるいは、ターゲットとする健全性の水準を見直したのか)、
という疑問につながってしまいます。

いずれにせよ、期末に向けた生保各社の動きに注目しましょう。


※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

※築地市場です。カモメがエサ(?)に群がるような光景も
 あと少しで見納めです。


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コメント一覧

今、リスク管理を考える  (2016年02月27日 17:38:55)

運用難だからリスクをさらにテイクするのはおかしいというのは、実務感覚のない経済価値信奉者に多い議論ですね。現場で経営を担ってる人たちからすれば、アホかいなという風に受け止められるんじゃないでしょうか。だから頭でっかちなんだ、しかもその頭もイマイチだと。今一度、経営者になった気分で真面目に考えてみましょう。御社の中には多分そのへんをきちんと理解してる人もいるはずです。もしいなければ、その旨お知らせいただけたら、答をお教えしましょう。

今、リスク管理を考える  (2016年02月27日 17:57:26)

まあ、植村さんの気持ちも分からないでもないんですが。金融機関にリスクを取らせないというのが世界の流行りですからね。売名には知る評論家としては、流行りに乗るのは勝ち馬に乗るのが良いと。

廣戸 登  (2016年02月27日 18:13:03)

いつも、わかりやすい解説をありがとうございます。

今回のマイナス金利政策で「逆ざや」という過去の亡霊が表に出てくる事を、考えただけでゾッとします。

日産生命に始まるドミノ破綻を知らない世代が、社会人になるご時世です。

歴史は、繰り返して欲しくないですね。

中年アクチュアリー  (2016年02月27日 21:42:16)

「今、リスク管理を考える」さんに同感です。バフェットが、スイスにあるとある再保険会社に資本注入をして濡れ手で泡のようなリターンを確実にするのを横目で見ながら、生命保険会社の負債性資金は構造的に、世の中が悪い時にはリスクを減らし、世の中が良い時にはリスクを増やすことしかできないのかと暗い気持ちになったことがあります。そんな分かりやすい行動しか出来ない集団が社会的にも影響力のある大きな資金を運用しているのはどうなんでしょう。動きが自由でもっと速い人たちに最高のカモにされて運用効率はさらに落ちて行くのは確実で、その時の判断がALM的に妥当だと言えても、そんな誰でもできる仕事で契約者の信頼に応えているとは言えないと思います。その経験からも、生命保険会社のリスクアペタイトやトレランスは、リスク絞ると言うよりも、リスクから効率よく利益を得るために設定され、運用されるべきだと考えます。

今、リスク管理を考える  (2016年02月27日 23:13:53)

私は、論点は2つあると思ってます。

1つは、中年期アクチュアリーさんの言われるように、リスクテイクを悪とする最近の風潮。これは銀行業界でもそうです。リスクテイクをするかしないかは、経営判断。正解、不正解は、よほどのことがない限りありません。そして、健全なリスクテイクを促すよう、コーポレートガバナンスコードが作成され、アカウンタビリティーを果たすことで、テイクすべきリスクをテイクするようにという動きがあるわけです。リスクテイクを正解、不正解で捉える植村さんは、勧善懲悪で世界を見る近松門左衛門の世界です。そうではなく、健全なプロセスでリスクテイクが決定されているか、PDCAが回っているか、そこでしか我々は批判することはできないはずです。

もう一点は、保険会社のビジネスモデルの本質として、より本質的な意味として企業価値を毀損しないためには、資産運用リスクテイクが求められるという面もあるということ。これは、経済価値信奉者の目ではなかなか分からないことで、より深い考察が必要です。

今、コメント欄を考える  (2016年02月28日 21:47:46)

植村さんのような優れた方でも、言葉不足により読者に誤解を与えたり、観点に漏れがあったりすることはあろうかと思います。このコメント欄は、それらを補完し、読者に追加の情報や示唆を与えてくれる場になってほしいと私は期待しています。昨今、誤解、説明不足のまま子供のような批判ばかり繰り返すコメントが散見され残念です。

植村さん、誤解を解きたくなるのが人情かもしれませんが、時間がもったいないですので無視してくださって問題ありませんよ。多くの読者は植村さんの文章を誤解なく読んでいると思います。

ワタクシもコメント欄を考え  (2016年02月28日 23:51:24)

うーん、どうでしょう。批判的表現がきついとは思いつつも、本質をついたコメントも多いのでは。批判コメントにあるように、短いブログは短いなりの中での論理性や説得力というものがあるに越したことはないわけなので。ワタクシにもポジショントーク的なものと感じられるときも屢々あり、こういう批判的コメントが来るというのは、ワタクシにもああやはりと安心できますし、筆者にとっても健全というかありがたいのかなと。批判的コメントを受けて、自分の思考を発展させたいというワタクシ自身の性格によるものかもしれません。

今、リスク管理を考える  (2016年02月29日 06:54:29)

批判を単なる批判としてしか受け止められず、建設的なものとして活かせないというのは、日本の文化という側面もあります。

内容によらず批判する奴は悪。議論なんか無意味。大事なのは阿吽の呼吸。批判なんかせずに相手のいいところを探そう。空気を読んで同調すべし。いわゆる『みんな仲良し学校教育』、『日本的な組織』というやつですね。

コメント欄をそのようなものにしたい、それはこのような文化にねざしたものであり、一つの見識と受け止めます。

ただそうなると、コメント欄について考える前に、そもそものブログの意義を考える必要があるように感じざるを得ませんが、今、コメント欄を考えるさんは、その点についても肯定的に捉えているようで、そこは解せないところです。

ヂロウ  (2016年02月29日 08:30:04)

センチとしては植村さん、ロジックとしては考えるさんを支持。見逃しがちだが、考えるさんのコメントは批判的なものが多いが、そうでないものもあり内容本意かと。ただここは植村さんのブログ。植村さんがどう運営したいかで決めればよい。

ソウルでワシも考えた  (2016年02月29日 09:11:12)

日本の縮図のようで面白いですね。

リスク管理氏は内容について批判するのに対し、植村氏は匿名性で反論、コメント欄氏は子どもっぽいと批判。リスク管理氏からみればこれは単なるレッテル貼りとしか聞こえない。

戦争法案反対と言ってる人に、これは戦争法案ではないといくら言っても聞かないのと同じかと。戦争法案反対の人は平和は侵すことのできない絶対的真理。

つまり議論をメタ議論でかわす。こういう構図です。噛み合うわけがありません。

あいう  (2016年02月29日 11:53:39)

深入りはしないですが、確かに今回のエントリーのように経営判断の領域に関する批判となると、善管注意義務違反のような明確な場合を除けば、それなりに慎重であるべきであり、それなりの論理構成が欲しいとは感じるところです。

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