ダムの底に沈む温泉へ

 

今回は正月休みの最終日に行った鉄道旅行の話です。

JR吾妻(あがつま)線の沿線には温泉がたくさんあります。
有名な草津温泉をはじめ、万座温泉、四万温泉も沿線です。
「○○温泉」という駅も2つあります。

そのなかで、ダムが完成したら沈んでしまう温泉として知られる
川原湯温泉に行ってきました。
昭和の香りが漂う共同浴場と、男女共用の簡素な脱衣所と
浴槽しかない究極の露天風呂(写真右)をハシゴしました。

このダムとは、民主党政権が事業中止を打ち出したものの、
その後一転して工事再開となった、あの八ツ場(やんば)ダムです。

川原湯温泉は源頼朝が発見したとされる歴史ある温泉で、
最盛期には20件以上の旅館があったそうです。

しかし、激しい反対運動を経た後に、ダムに沈むことが決まり、
休業や廃業が相次ぎました。いまや営業中の旅館は4件のみです。
共同浴場の営業も早ければ年内で終了だそうです
(高台の代替地に移転する予定)。
訪問客が減ったためか、日中営業している食堂もありません。

唯一やっていた売店お福のおばあちゃんと話をしました
(お腹がすいたので、温泉まんじゅうをバラ売りしてもらいました^^)。

「人が減って、お店もなくなっちゃって。せっかく来てもらっても
 食べるところがないんだよねぇ」

「もう、(温泉街の)代替地に移った人たちもいるよ。
 でも、一番多いのは、他の場所に行っちゃった人たちかなぁ」

「代替地に移った知り合いが結構亡くなってるねぇ。
 明後日も葬式があるなぁ」

そんな話を明るい口調でするので、複雑な気持ちになりました。
もっとも、暗い口調で話されたら、きっと辛かったでしょうね。

※駅もダムに沈みます。左の塔のような建物は橋を造っているところです。

※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

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