米(コメ)の先物取引が72年ぶりに復活しました(8日)。
早稲田大学の森平爽一郎教授によると、
江戸時代には大阪堂島に世界最初の組織化された
先物市場があり、ここで決まった米の値段が
旗振り通信等により、ただちにに全国に伝えられたそうです。
しかし、日本の米先物取引は戦時統制が進むなかで
1939年に廃止されてしまいます。
今回の東京穀物商品取引所、関西商品取引所での
試験上場はそれ以来のことです。
米先物取引の復活で最も期待されるのは
透明な価格形成だと思います。
1995年まで続いた「食糧管理制度」では
米価はかなり政治的に決まっていたようです。
その後、米の流通自由化が進んだとはいえ、
JAグループが国内流通の5割を占めていることもあり、
どうも米価の決まり方は不透明です。
唯一の公的市場だったコメ価格センター
(全国米穀取引・価格形成センター)は
この3月に廃止されてしまいました。
今回の試験上場にJAグループは反対しています。
「コメが投機の対象になる」ので取引に参加しないとのこと。
しかし、食糧管理制度の時代ならまだしも、
米の流通自由化が進み、政府の支援も価格維持から
所得補償にシフトしているなかでは、需給を反映した
価格形成の透明性はますます重要となります。
それとも透明になると困る人が出てくるのでしょうか。
私がたまたまテレビで観た生産者や卸売業者、小売業者の
コメントはどれも前向きなものばかりでした。
ふと思ったのですが、この話、
「経済価値がわからなければ収益・リスクの管理はできない」
「経済価値のように振れる指標では適切な経営ができない」
といった保険会社の経済価値評価をめぐる議論とも
共通するものがありますね。