損保4社の業務改善計画

企業向け保険料の事前調整問題で金融庁が昨年末に出した業務改善命令に基づき、大手損保4社が2月29日に業務改善計画を金融庁に提出し、その概要を公表しました。いくつかのメディアから取材を受けたので、備忘録としてコメントが載った部分をご紹介します。

時事通信

政策株6.5兆円、すべて売却へ 不正の温床、迫られた清算―損保4社」という記事の最後のほうに、

「政策株の全売却について、保険業界の動向に詳しい福岡大学の植村信保教授は『いびつな保険の取引慣行の是正のきっかけになる』と指摘」

というコメントが載りました。記事はその後、「金融庁は『政策株がゼロとなるよう売却状況を監視していく』(監督局幹部)方針だ」で締めくくられています。

読売新聞

損保4社 改善計画 政策保有株ゼロ 目指す 過度な営業支援も是正(読売会員限定)」という記事の最後に、

「福岡大の植村信保教授(保険論)は『長年続いてきた慣行を変えるのは容易ではない。損保各社の取り組みは当然として、顧客企業の意識改革も重要だ』と指摘する」

というコメントが載りました。
ちなみに同紙は政策保有株式の削減について、「純投資に切り替わるだけに終われば改善策は骨抜きとなりかねない(中略)各社が売却を加速していけるかが問われそうだ」という冷静な視点を示しています。

参考までに、4社の業務改善計画はこちらになります。
東京海上グループ
三井住友海上
あいおいニッセイ同和
SOMPOグループ

「取引慣行」に関する改善策として政策保有株式の売却のほか、

・本業支援の見直し(出向を含む)
・企業代理店のあり方

が挙がっています。「トップライン重視・シェア重視」に関しては、

・営業目標や個人評価制度の見直し
・保険引受管理態勢の見直し

が挙がっています。
いずれも方向性として全く違和感はないとはいえ、個社の取り組みだけでどこまで実現できるか。政策保有株式のように、外部からでも取り組み状況がわかるといいのですが、透明性について工夫が必要ではないかと思います。

※三越本店のライオンに会ってきました。

※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

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