8月21日の日経新聞に「家計、生保離れ 1.8兆円流出」という記事が載りました。記事はこちら(有料会員限定)です。
資金循環統計によると、2024年1-3月期に家計の貯蓄性の保険が約1.8兆円流出し、他方で投資信託が伸びていることから、「保険から投資へ資金が動いている」という専門家の見方を紹介しています。
記事の元ネタはこちら(第一生命経済研究所のサイト)になります。
ちなみに資金循環統計の「生命保険受給権」とは、個人保険の責任準備金から危険準備金を控除したものを積立型保険の準備金とみなし、これに契約者配当準備金を加えたものとのことです。
生命保険協会が公表している四半期ごとの損益計算書によると、確かに2024年1-3月の解約返戻金は約3.5兆円(個人保険が大半を占める)と、2022年4-6月に次いで大きくなっていて、いずれも円安が進んだタイミングにあたります。一時払いの外貨建て保険の解約が多かったのでしょう。
他方、2024年1-3月期だけの一時払い保険料データはありませんが、2023年度全体の一時払い保険料は約10兆円なので、2024年1-3月期に限ればネットで流出だった可能性はあります。
ただし、保険料収入は2022年度から一時払いを中心に増加傾向が続いていることから、この2年間はざくっと見て毎四半期に2、3兆円の流入があり、やはり2、3兆円の流出(解約)があるといったところでしょうか。これを「保険から投資へ」と言えるかどうかは微妙で、むしろ外貨建て保険の回転売買のほうが心配だと思いました。
※夏の帝国ホテルです。ちなみに冬はこちら。