「第2の柱」の実効性

プルデンシャル生命の営業職員による金銭詐取問題をはじめ、近年、保険会社や代理店による不祥事が後を絶ちません。そのなかで、「金融庁は何をしていたのか」「検査で見抜けなかったのか」など、金融庁の監督に対する社会の目線も厳しくなっているように感じます。

金融庁のリソース不足については2024年にIMFが指摘していますし、ブログでも何回か触れてきました。例えばこちら(金融庁のリソース拡充を)やこちら(過度の便宜供与)、こちら(日本の保険行政)などです。
ただし、リソース不足だけではなく、主として銀行を念頭に置いた検査・監督の見直しが、保険行政にはむしろ裏目に出たとも考えています。最近になって、2024年12月に日本保険学会・関東部会で報告した「ソルベンシー規制『第2の柱』の実効性に関する考察」の論文のPDFファイルが公表されました。この論文の「おわりに」で私は次のように述べています。

以下、少し長いですが、該当箇所を引用しましょう。
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この間、金融庁は検査・監督の大幅な見直しを行った。(中略)いわゆる重箱の隅をつつくような検査ではなく、「モニタリング・データや随時のヒアリング等により金融機関の分析を行い、金融機関の特性を把握し、その内容に応じて検証の重点を判断し、重点的な課題の性質に応じてオンサイト(立入検査)とオフサイト(立入を行わないモニタリング)、個別金融機関のモニタリングと水平的なモニタリング(同一課題についての金融機関横断的なモニタリング)等を使い分けていく」とした。実際、定期検査中心のモニタリングから、オン・オフ一体の継続的なモニタリングに移行し、検査局もなくなった。
この改革は、銀行監督についてはともかく、保険部門の監督に関してはうまく機能していない可能性がある。もともとのリソース不足に加え、少数の専門性の高い人材を新たなソルベンシー規制(特に経済価値ベースの健全性指標の開発)に配置せざるをえないなか、周期的な立入検査をなくしたことにより、リスクの把握が難しくなった点は否めない。方針転換とともに、保険行政としては、立入検査に代わるリスク情報の収集と分析の枠組みを確立すべきだったが、その取り組みが進まなかったのであろう。加えて、保険会社の経営情報はわかりにくい、理解が難しいとされる(特に生命保険会社)。2年程度のローテーション人事では、いくら優秀なスタッフであっても、しっかりした枠組みがなければリスク情報の分析は難しい。
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それでも保険行政の現場は何とかがんばっているのですが、現場だけで取り組めることは限られています。せっかく7月から監督局が2つに分かれ、銀行行政に引きずられにくくなるのですから、ぜひ機会を生かしてほしいところです。

※福岡に嵐が来ました(私は会っていません)

※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

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